嗚呼!米国駐在員。
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2004年04月06日(火) |
白い巨塔 / 教授の総回診 |
最近の土日はもっぱら「白い巨塔」のテレビ録画を、日本食スーパーで借りて見るのが楽しみである。 原作を読んでおり既にストーリーが分かっていても、ハラハラとしてしまう。多少お涙頂戴のシーンがあることが気になるのだが、よく出来たドラマと思う。
ちょっとおかしいのが、毎回ドラマの冒頭で唐沢演じる財前教授を先頭にした大名行列のシーン。「財前教授の総回診が始まります」。これを見て、ほんまかいな、と思う人が多いと思う。
実は5年ほど前にお茶の水の某大学病院に2週間ほど入院したことがあるのだが、まさにこれと同じような教授の回診があったのをよく覚えている。回診当日の朝は、看護婦がやたらにせわしなく部屋やベッドの周りの掃除を始めて、読みかけの雑誌や飲み物も全部見えないところにしまってくれ、とにかくキレイにしてくれ、と言われたものだ。
そこで仰々しく教授が登場。1つずつベッドを回る。担当医が一生懸命状況を説明しているが、そんなものはお構いなしに、教授が一言患者に声をかける。「具合は如何ですか?」「お大事に」 聞かれたこっちだって、たまに現れるおっさんに何を言えばいいのやら。おまけに、教授にくっついて金魚の糞のように研修生見たいなのが何十人も入ってくる。狭い部屋は一杯である。みんなが、教授の一言一句を漏らすまい、と必死にメモを取る。みんながベッドに横にされた患者を一斉に見つめる。 見世物にされた中で、何をしゃべれと言うのか。
教授そのものは、一見にこにこして対応しているが、何せ患者数をこなさねばならない。 自然と対応は丁寧ではなくなり、あっさりしたものになってしまう。同室のおじいちゃんとかは、それでも一生懸命自分の状況を説明したりするんだけども、いちいち聞いてたら終わらないからか、教授もうまく話を終わらせてそそくさと次の患者に向かうのである。 でも教授が悪いのではない。こんな馬鹿馬鹿しい大名行列ををやらせてるのが悪いのである。
印象に残っているのが、教授そのものよりも担当医が必死に教授に病状を説明する姿。 自分の担当医はそれこそあっさりしていてそんなに熱心とは思わなかったけど、総回診の時はもうそれは一生懸命に説明。「へえ〜、大した会話もしていないのに自分のことをそんなに分かってるんだ。」と関心した覚えがある。
大学病院で生き残っていくのも、大変なことだと実感した。 でも、なんだか患者にとっては全く意味のない「儀式」であったな.
Kyosuke
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