嗚呼!米国駐在員。
<目次>戻る進む


2004年03月09日(火) 空港での中国人 / 寿司をつまんで

今日も午後4時の便でデトロイトに出張。といっても、明朝のミーティングに備えての前日移動だから、比較的楽なものである。
ところが、空港に向かう直前に先方から連絡が入り、明朝は緊急で別件の用事が入った為ミーティングは延期、打ち合わせの書類だけ郵送しておいてくれ、という。まあこちらも新顔だしそれほど重要度の高い訪問ではないのでしょうがないか、と思うのだけど、既に飛行機もホテルも変更できずにとりあえずはデトロイトに向かう。
こういったドタキャンがたまにあるのが非常に辛い。幸い、午後には別件の用事があるために出張そのものは無駄にならないのが救いか。
断りをいれてきた客先には、「あなたの為にもう出張をセットしてある。だから書類は郵送ではなく、いずれにせよ直接会社まで届けにいく。不在ならばアシスタントにでも渡しておくので、質問があるならば別途連絡下さい」と、あくまで恩を売っておく。といっても、この手の話は日本でなら、悪いことさせたな、という印象を相手に与えることが出来るかもしれないが、こちらでは逆に、郵送でいいというのに無駄な動きをするやつだ、と捉えかねられないから、効果の程は分からないけども。 下手にこのキャンセルをボスに報告すると、代わりにあれしろこれしろとうるさいので、まあ午前中はホテルでゆっくりするか。

そうそう、空港でチェックインしていると、どっからどうみても中国人の団体がいた。もちろん観光ではなく、何かの視察団のようだ。その仕切り役みたいなオジサンが、チケットらしきものを片手に、本当に困った顔であたりをきょろきょろと見回していた。こちらと目が合った瞬間、同じアジア人、もしくは中国人と思ったのだろうか、険しい顔をして一目散に向かってくる。とっさに目をそらすが、もう遅かった。目の前にきてなにやら中国語で叫び散らす。英語で話してみるが分からないようだ。
昔覚えた片言の中国語で、「申し訳ないけど、中国語はさっぱり分からないんだ」と言うと、おじさんはそれまでの苦虫から一気に笑顔になって、「中国語分からない、中国語分からない」とこちらの言葉を復唱してから、なにやらまた一気に中国語で語りだした。
ここまできて自分のおろかさに気がつく。一体なんで中国語で回答してしまったのだろうか。
おっさんはチケットを見せてなにやら叫ぶ。見ると、シカゴ→ラスベガス便。カジノでも行くんだろうか。おそらくどこに行けばいいかという質問だと勝手に解釈して、チェックインゲートを指差すと、そのまま団体を引き連れて行ってしまった。
アメリカの空港職員はほとんどが無愛想極まりない。下手な英語でも理解しようとしないんだから、中国語なんて聞こうともせずに一方的にまくしたてられ、中国人の彼らも困っていただろう。中国こそ世界でナンバーワンと信じている国民だろうから、同じくナンバーワンだと思っているアメリカにきて色々戸惑いもあることだろう。

もっとも、アメリカに住んでいる中国人は、日本で起きているような中国人犯罪とは無縁のように見えるし、実際に日本ほど犯罪を起こしていないように思えるし聞いたこともない。日本がなめられているだけなのか。

デトロイトは雪。
レンタカーはカローラでがっくりしたが、このクラスにしては安定性は抜群。80マイルほど出すと明らかに米国車との違いが出てくるなあ。

夜は日本食屋のカウンターで1人で久々のサッポロビールを飲みながら寿司をつまむ。
ここは、元巨人の木田投手がデトロイトタイガース時代に良く来たらしい。
隣に座ったこれまた1人で現れたアメリカ人と話す。どうもアメリカのレストランは1人で入りづらくて、と言ってたが、同感。でもアメリカ人が寿司カウンターに座るというの厳しそうなもんだが。タバコの害についての調査会社で各地を転々と出張しているそうな。まじめなアメリカ人だった。

途中で日本人の留学生らしい女の子(というには、アメリカ風のけばけばしい化粧だったが)が1人カウンターの隅にきてなぜかグラスワインを飲んでいた。よっぽどそっちのが気になってしょうがなかったが、わざとらしく原書は読むわ、そのくせ携帯しながら化粧を始めるわで幻滅。 そのうちいなくなってしまった。

隣のアメリカ人と別れを告げてホテルに戻る。明日ものんびり。こんな出張もたまには結構である。


Kyosuke