嗚呼!米国駐在員。
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2004年02月28日(土) アサハーラ / 日本の商習慣を説明

今朝も通勤途中の車の中でラジオを聞いていると、朝8時のニュースで日本の地下鉄サリン事件を説明、その代表である「チズオ アサハーラがDeath Penaltyを受けた」と報道していた。

まずは異国のラジオ中継のほぼトップニュースで日本の一判決が報道される事に驚いた。
サリンを使った無差別殺人、それも“世界で最も安全な国家のひとつである”日本で起こった事に対して、殺人大国アメリカでも相当に奇異な事件に写ったようだ。日本でも、昨日は相当な過熱報道があったのだろうと想像する。
そして、今回は誰がどう見ても死刑判決しかない、ある意味で当然結論の決まった判決なのだが、もう初公判から8年近くもたっていたということにも首をひねる。いくらなんでも時間かかり過ぎでとっとと死刑判決すべきである。
AP通信のサイトによれば、「日本は慢性的に弁護士と判事が不足していることに加えて、事件の複雑さが判決まで長く時間がかかった」と伝えていた。
まあ、とっとと処刑しろ!というのが本音だが、最高裁判決前に処刑できないのが法治国家であり止むなしか。


会社に行くと、また東京本社からメールの山。日本は花金(古いか)だったのにご苦労なこった。
順番に読んでいくと、おやおや、寂しい事に自分の仕事そのものは非常に少ない。

多かったのが、米人スタッフと仕事してるけど、こんなニュアンスが伝えられないのでよく理解してもらうよう説明して下さい、とか、かゆいところに手が届く情報が米人スタッフから来ないけど、ちょっと手伝って貴方から返事して下さい、とか、そんなのばかり。

商売に支障が出ては困るので出来るだけのFOLLOWはするのだが、これが実に大変な作業である。
まず、仕事の範囲が明確化されている米人スタッフの仕事内容に対し、日本人が裏でなにやらやっている事に彼等は非常に抵抗感を覚える。
この抵抗感を取ってやっても、そもそもが米人が担当している客なのでこちらも細かい交渉経緯やニュアンスを知らない。その上で途中からクビを突っ込んでも所詮が又聞きの適当な解釈になってしまう。
こちらが当然と思っていることの認識が相手にはない、もしくはその逆のケースも多い。文化も言葉も違う、それも見えない相手に対する貿易業務だけに、説明しすぎるくらい説明してちょうどいいくらいだ、と伝える。

そもそも、たいてい日本からこんな依頼が来るときは、それこそ非常に日本的なもやもやっとした内容であり“まあそうは言うけどなんとかうまくやってくれや”という類いの話が多いんだな。 それをなんとか米人に拙い英語で説明出来ても、がちがちの契約社会のこちらでは、日本の義理人情と貸し借りの入った商売を筋道を通してはっきりと理解させる事が出来ない。
逆に米人から理屈の通った説明を受けて、「そうだそうだ、ほんまにその通り、だけどそれじゃいかんのや」。
全く説明にならないのである。

彼等に俺はアホと思われてるんじゃないか、と思いながらも、アメリカから見た時の日本の商売の独特さを痛感する毎日である。そして、何でだ?といわれたときに、これが日本のやり方なんだ、としか説明できない自分の実力不足をも実感するのである。
と、駐在当初はこんな事でもあれこれ悩んでいたが、赴任後10ヶ月たった今はもうすっかり動揺しなくなってしまった。  やっと週末。うれしい限りだ。


Kyosuke