嗚呼!米国駐在員。
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2004年02月26日(木) 新車を試乗する

今日は朝から晴れた。本当に珍しい。気温も摂氏40度近くまでいったけど、まだまだ寒い。
とはいえ、路上にばらまかれた凍結防止用の塩も、側道に積もった雪も、極寒を思わせるモノが明らかになくなってきており、ささやかな変化がうれしくなる。

バーガーキングでランチの後に、気になったピックアップトラックが置いてあったDUDGEの販売店にふらりと寄る。
さっそくセールスマンが張り付くが、色々聞きたかったので都合がよかった。最初は韓国人と思われていたようだが、日本人だ、というと早速、「I love SUSHI.」と言ってくる。こう言われるのはかれこれ何度目の事か。 まあ、寿司が日本食だと気がついていないアメリカ人も結構いるので、認識してくれただけでもよしであるが。
 
日本じゃ考えられない馬鹿でかいフルサイズのトラック。独特のエンジン音に重厚感のある扉。内装やインパネは日本車と比べるとお粗末だが、なんともいえない魅力がある。日本では逆立ちしても乗れないから、なおさら魅力的だ。日本みたいに発注するのではなく、アメリカではディーラーが新車を買って、日本の中古車のようにそのまま置いてある。同じ車がずらりと何十台、何百台と並んでいるのも圧巻だ。(雪の日も雨の日も野ざらしなのが気になるのだが)

セールスマンは、その辺を運転してみるか、というので、言葉に甘える。
新車だからか思ったよりも室内は静かだし、取り扱いもしやすい。 自動車屋といってもかなり広いので、場内1周してこれで十分と思ったら、助手席のセールスマンが「そのまま外に出てもいいぞ」という。そのまま外にでて10分ばかり路上を走って戻る。 
確かに気に入ったが、車体だけで3万ドル以上。欲しいのはもちろん欲しいが金がきつい、と丁重に断って帰ろうとすると、そこで初めて猛烈な攻撃を浴びる。

まあこれも覚悟していたので、適当にあしらうと、そのまま乗って家に帰れ、気に入らなければ数日後にまた返してくれればいいから、という。
かなりの荒業である。店のマネジャーも一緒になって勧めてきたが、もちろんOKする訳ない。 今日は見に来ただけ、これから仕事に戻る所だ、まだ金も払えるか分からない、本気で買うなら他社とも比較したい、などなど、考えられうる断りの文句を伝えるのだが、「何故そんなに躊躇する?ここで1ドルもお金は要らないんだぜ、さあ早く乗ってけ」と鍵を渡す。こんなやり取りがほとほと疲れて、無視して帰ってくる。

昼飯帰りに何やってるんだ、俺は、と思った。
こちらの自動車屋のシステムも不思議だ。一体どこの誰かも分からない人間に公共の道路で試乗させるだけでも驚きだが、車乗って帰れって、事故があったときの保険とかどうなるんだろうか。気に入らなくて断ったらどうなるんだ、100マイルも走った車は新車で売れないだろうに。
あのセールスマンも最後の理不尽な押し付けがなければまた来ようと思ったのに、もったいない奴だよ。 ここまで強引にやれば相手が不快になるな、とか感じないのだろうか。まあ厳しいノルマで目先の客確保に精一杯なんだろうけど。こちらの自動車セールスマンはころころ変わるから、よっぽど定着率が悪いんだろうな。

それでも年間1600万台の新車が売れるアメリカである。客に対して日本で見られるようなきめ細かな対応がなくても売れるマーケットなのである。


Kyosuke