嗚呼!米国駐在員。
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2004年02月25日(水) 努力のない企業 / 難しい客

昼前からシカゴ南部にある客先訪問。
治安があまりよろしくない地区であり、非常にごみごみしており、我々が住む郊外と比べて明らかに街が乱れている。
そんな風景に似つかわしくない小奇麗なイタリアンレストランにてランチを共にする。こじんまりしていたが、まるで映画に出てくるような雰囲気のある店であった。
客先の無口なオヤジは、サラダにアンチョビをたっぷりいれるよう注文、それをシェアした。このサラダは絶品だったが、アンチョビがあまりにも大量で塩辛い。

このオヤジは海外にも仕事にも興味はないようで、まず向こうから話かけてこない。おまけに英語のなまりが激しく、はっきり聞き取れない。
こういう相手と仕事以外で会話することは恐ろしく難しいのだが、これは万国共通か。本来は、わざわざこんなオヤジとランチまでセットしたくはないのだが、これも仕事である。

まあ、それでも今回で会うのも3回目だし、会話は弾まないにしてもお互い少しは慣れてきたかな、という感覚を得たのでそれで十分。


昨年の秋にアメリカの家具業界が中国製家具にダンピング(不当廉売)の疑いがあるとして、高関税の採用、対抗措置を米政府に要請した、と記事があった。
アメリカに限ったことではないんだが、これは民間企業が「私たちは競争力のある魅力ある商品が作れません。その努力も致しません」と言っているようなもので、彼等は恥ずかしくないんだろうか。
悪いのは、テメエの会社の実力不足、製品の魅力不足なのであって、中国製が安すぎるという理由ではない。華僑は意味なく無駄に安売りを続けるほど愚かではない。

家具の場合、アメリカの小売業協会は「中国製がなくなれば家具の価格が2倍以上に跳ね上がる」と言っている。
そうだよな、IKEAなんかの大型店にいけば、家具の殆どは中国製だからな。でも中国製は安い上に全く遜色ない。これが、店中がこんな怠慢な米国製品だけになったら、困るのは我々消費者なのである。

でも、これに政治家の票稼ぎの思惑がからんで、本当に輸入禁止とか高関税採用という話に繋がってしまうから怖い。
ダンピング提訴した企業は、敵が来ない事をいいことにろくな企業努力もせずに利益を得る。 奴等は、そのうちやばくなったらまた政府に頼めばいいや、と考えるから、本当の、真の実力がつかないまま、気がついたらどうにもならない依存体質の企業になってしまう。 トップがそんなんだから、従業員もそれなりの働きになってしまう。ぎらぎらしている中国企業と一緒の土俵で戦える訳がない。

自社にとっての脅威が現れたならば、それに如何に打ち勝っていくつもりなのかを考えるのが、あたりまえの姿である。これは簡単なことではない。でも、日々この社会で如何に打ち勝っていくかを考えるしかない、しがない1サラリーマンからすれば、安易にダンピング提訴するような企業は許せないのである。


Kyosuke