嗚呼!米国駐在員。
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先日本屋に行った際、白い巨塔の文庫本に「テレビドラマ化」という帯がついているのを見た。そういえば、インターネットでそんな事が書いてあったような気がした。 実はまだ読んだ事がなかったので、テレビドラマ化に誘われた訳ではないが、とりあえず2巻だけ購入する。 それにしても、文庫本が8ドルか9ドルするのは高すぎる。まあ買う事が出来るだけよしとしなければ。
幸か不幸か、昨日は出張先で帰りのフライトの待ち時間が長く、1巻目を読み上げた。
財前助教授の卓越した能力と思惑、医学界を取り巻く生臭い工作。昭和40年の原作とは思えない内容で一気に読ませた。東教授、鵜飼医学部長ともに、ほんとに医者かいな、と思わせる政治家ばりの駆け引きは非常に興味深い。 現実の医学界はわからないが、現実に医療ミスでの組織ぐるみの隠蔽工作がまかり通っている事を考えれば、このくらいの政治力と腹黒さがなければトップに立てないのだろうか。 商社で働いていると、程度の差こそあれ腹黒い人間が多いように感じるが、どこの世界もこんな環境は一緒なのだろう。こんな腹黒い人間にはなりたくないという建前はあるにせよ、財前助教授のように実力もあり駆け引きもうまい人物には男として何となくあこがれる部分も否定出来ない。
文庫本の帯を見ると、唐沢寿明が財前役、江口洋介が里見役とある。唐沢はともかく江口は里見のイメージではないような気がするのだが、うまく演技していることだろう。欲を言えば、織田裕二の方が財前役はぴったり、是非彼に演じて欲しいと思ったが「振り返れば奴がいる」の医者役イメージが強すぎるかもしれないな。あのドラマも最高だった。 こうなれば「白い巨塔」のテレビドラマが見たくてしょうがなくなったが、こればかりはどうしようもない。
山崎豊子の小説は過去にいくつか読んだけども、ここまで感情移入した事はなかった。 これまでのように突っ走るばかりではいけない、世の中の現実を見てうまく卒なく周りを固める事も必要、そういう事を意識しなければならない、そして要求される年齢になってきたということだろうか。そんな事を考えるとなんともいえないどこか寂しい気持ちになってくる。 何はともあれ、2巻以降が楽しみである。
Kyosuke
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