2009年08月09日(日) |
降雨コールドゲーム(中学関東大会準々決勝) |
松戸四 0020000|2 上溝中 000000 |0 (千葉県総合スポーツセンター野球場)
ありえない結末だった。 勝てば全中が決まる関東大会の準々決勝、相模原市立上溝中(神奈川)vs松戸市立第四中(千葉)。3回表に2点を先攻された上溝中は、最終回の7回裏に2アウト満塁のチャンスを作った。迎えるは、1番打者を務めるエース。もっともタイミングが合っていたバッターだった。
しかし、ここでゲリラ豪雨が襲う。試合はやむなく中断となった。中盤あたりから、ポツリポツリと雨が降っていたが、土壇場のこの場面でとてつもない雨。中断せざるをえない状況だった。
このまま雨が降り続けば、松戸四中の勝ちとなる。 7イニング制の中学野球の場合、試合成立は5回と決められている。 もし、5回以前の中断であれば、サスペンデッドゲーム(特別継続試合)となり、翌日以降に中断時の状況を引き継ぎ、試合が行われる。だが、もう7回。サスペンデッドゲームは適用されない。
雨は一向にやむ気配がなかった。中断したのは2時半過ぎ。ここで大会本部から、「16時まで待ちます」という連絡が入る。16時に雨がやんだ場合、2時間かけてグラウンド整備を行い、18時に試合を再開するという。 球場にはナイター設備がない。17時まで待った場合、19時試合開始になる。それは環境上、できないことだった。
16時が迫る。雨はむしろ強くなっていた。 大会本部に、両チームの監督が呼ばれ、「降雨コールドゲーム」となることが伝えられた。正式には16時15分にゲームセット。 一塁側の上溝中控え室には、選手だけでなく、保護者までもが入り、星野直人監督から「試合終了」が説明された。中体連側の配慮だった。控え室から泣きながら出てくる保護者。見ていられなかった。
「力不足でした…」と星野監督。 目は真っ赤。懸命に涙をこらえているように見えた。 東海大相模、東海大の出身で、高校時代は2000年センバツで優勝、大学時代は準硬式野球部で日本一を成し遂げている。勝ち運を持った監督だ。 今年、就任2年目で上溝中を県準優勝に導き、自身初の関東大会出場を果たした。全国大会5度の出場を誇る名門・上溝中の伝統を、しっかりと受け継いでいる。
どの選手も泣いていた。それでも、球場を去るときは、大会関係者に「ありがとうございました」と一礼。この状況で、なかなかできるものではない。
あと3分、いやあと1分でもあれば、最後まで試合ができたかもしれない。 誰が悪いわけではい。 でも、最後の夏の大会、全中がかかった大一番でこの結末とは…。
――数年前、愛知県大会で同じようなことがあった。 以来、愛知県では、「7回終了前に、雨などで試合が続けられない場合はサスペンデッドゲームを適用する」という、県独自のルールがもうけられた。「最後まで試合をやらせてあげたい」。中体連の想いだった。 そして、この夏の愛知県大会準決勝。新ルールが適用された。 7回裏2アウト満塁の場面で大雨。スコアは2対0。今日の関東大会とまったく同じ状況だ。こちらは、翌々日に試合が行われることになった。
2日後、負けていたチームが相手ミスとタイムリーで、逆転サヨナラ勝ち。3対2。そのまま勢いに乗り、愛知大会優勝を飾ると、東海大会でも準優勝。見事に、全中初出場を決めた。それが、名古屋市立森孝中(愛知)である。 中島佳宏監督は、「新しいルールがなければ、0対2の場面で試合成立。ルールに助けられました」。
愛知県の例があるだけに、今回の関東大会での降雨コールドゲームはやりきれない想いが強い。
各県の先生に聞くと、栃木県も愛知県同様に、「7回成立」のルールをもうけているという。せめて、最後の夏の大会だけは、「7回成立」にならないものだろうか…。
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関東大会はベスト4が出揃い、 ●鳩ヶ谷市立八幡木中(埼玉) ●桐蔭学園中(神奈川) ●伊勢崎市立第三中(群馬) ●松戸市立第四中(千葉) が、全中出場を決めた。
どのチームもバッテリーがしっかりしている印象。特に松戸四中のキャッチャーが素晴らしい。
今日の準々決勝で八幡木中に敗れはしたが、鹿島中(茨城)のエースが見事な投球。初戦でノーヒットノーラン、この日も9回まで2安打無失点。特別延長戦で涙をのんだが、大会ナンバー1ピッチャーといっていいだろう。
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