みのるの「野球日記」
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2005年05月03日(火) 決勝で日吉対決実現!

 春季神奈川県大会の準決勝を見に、保土ヶ谷球場へ。春なのに内野は超満員。第1試合の途中から外野開放となりました。

■第1試合
東海相模 0000003000|3
日大高校 102100000×|4

 日大のエース滝沢知輝が7安打完投。初めて見た投手だが、さすがにチームをベスト4まで押し上げてきただけのことはある。
 まず打者に向かっていく気持ちがいい。今日、151球投げたが(公式記録ではない)、スライダー、カーブの変化球系はわずかに12球。三者凡退に抑えた9回はすべてストレートで2三振を奪った。
 といっても、ストレートが驚くほど速いわけではない。本人は「MAX143キロ」(日大藤沢戦で出したもよう)と言っていたが、今日、ネット裏にいた横浜偵察隊のスピードガンを見ると、136が最高。それでも、強打を誇る相模打線を抑え込んだ。

 滝沢の投球を見て、「お!」と思ったのが左肩が、投げる直前まで開かないこと。右打者の感覚としては、左肩が自分の体の方に迫ってくる感覚だと思う。それでいて、適度に荒れる。そして、右打者の内角、左打者の外角はほぼ100%ナチュラルシュート。これ、相当打ちにくい。
 左肩の開きを抑えることには、本人かなり意識している様子。
「去年までは開きが早かったので、開きを我慢することを意識しています。踏み出した左足が着くまで、グッと我慢。この春になってから、その感覚を覚えることができました」
 聞けば、昨秋からストレートのスピードが10キロも上がったそうだ。冬場のランニング、3年生という自覚で、「スピードが上がったと思う」と話していたが…。思わず、「それだけで上がるの?!」と突っ込みを入れてしまった。
 身長も昨秋から伸びて、体重も6キロアップしたという。体の成長と、テクニックの上達がうまい具合にマッチしたのだろうか。
 
 また、滝沢のプレートを踏む位置も気になった。右投手では珍しく、一塁側のプレートを踏んでいたのだ。基本的に、右打者のアウトコースに角度をつけるため、右投手は三塁側を踏む投手が多い。何か意図があるのかと思い、聞いてみると、
「春の2回戦が終わってから、一塁側に変えました。三塁側で投げていると、どうも投げづらくて。ナチュラルシュートしすぎて、右打者にデッドボールを当てることも多かったんです」
一塁側から投げれば、右打者の内角への空間が広がる。好調の原因は、プレートの踏み位置を変えたことにもあったようだ。

 ストレートが多かったことについては、「自分のストレートがどこまで通用するか試してみたかった」と頼もしいコメント。
 この試合、日大は相模の主軸に対して、外野手が極端に深い守備位置を敷かなかった。7回表の岩崎巨之のライトオーバー二塁打は深い位置なら余裕で捕れたが…。それでも最後まで定位置を貫き通した。
 その点について伊藤謙吾監督は、「滝沢のストレートに相模打線が合っていなかったので、いつも通りの守備位置で大丈夫だと思った」と。確かに、伊藤監督の言うとおり、滝沢の強気の投球に相模打線は押され気味だった。

 滝沢をリードした荒川雄太。
「今日のリードのテーマは、ガンガン行くこと! 滝沢の一番いいボールはストレート。そのストレートが打たれたら、どの選手も納得できる」
 荒川はプロ注目のキャッチャー。質問に対して、しっかりと自分の言葉で解説ができる。初めて話したが、非常に頭のよさそうな印象を受けた。

 5回表2アウト一、二塁で打者は負傷の角一晃に代わった鈴木宏治。ストレートを4球続けて、カウント2−1。最後の勝負球に外のスライダーを持っていき、見事空振り三振にしとめた。
 荒川は「あの場面だけはひらめき。スライダーでいける、とひらめきがあったんです。ひらめきが」と、何度も「ひらめき」という言葉を繰り返した。キャッチャーの勘といえるのだろうか。

 評判の肩は、イニング間の二塁送球を見ても、びっくりするほどの強肩ではない。しかも、あまり真剣に放らない…。しかし、実戦になると「さすが」という場面がしばしば。捕ってからが速い! 機動力が売りの相模の盗塁を二度封じた(二度ともエンドランの空振り)。しかも1回と2回に封じたので、試合の展開上大きなものだった。本人曰く、二塁送球は「1.8秒」とのこと。センバツの試合、さらに春の初戦のビデオを何度も見て、どこでエンドランがくるか徹底的に分析したとも言っていた。

 これで日大は40年ぶりの春季大会の決勝進出。
 滝沢は「日吉対決がしたい。慶應に勝ち上がってきてほしい」と、ともに東急東横線の日吉駅にある慶應の勝ちを願っていた。



■第2試合
慶應義塾 000002033|8
桐光学園 200100011|5

 試合前に漆畑に「今日はどんな感じで?」と聞くと、「最初に宮本で、あとは色んな投手で繋いでいって、最後は中林の予定」と。そんなにうまくいくのかい? と思ったが、これが見事見事、ほんとにうまくいった。しかも、最後は中林ではなく、公式戦初登板の漆畑。奇襲かと思いきや、下級生の頃は練習試合でよく投げていたそう。シニア時代も、何度も抑えで登板していたそうだ。
 9回1イニングだけの登板で、「いかにも野手」だったが、何と137キロを記録。「137キロ出てたよ!」というと、かなり嬉しそうにしていた。

 試合後の上田監督。
「今日は最初から6人の継投で行くと決めていました。順番も、最後に漆畑を出すのも予定通り。先発の宮本も、三番手の忠本も、福山もみんな良く投げてくれた。田代と崔は抑えられなかったけど、いい経験になったと思う」

<慶應の投手起用>
宮本(1年)    4回 4安打3失点
田代(2年)  1/3回 0安打0失点
忠本(3年)2・2/3回 2安打0失点
崔 (2年)  1/3回 2安打1失点
福山(2年)  2/3回 1安打
漆畑(3年)    1回 1安打1失点

 忠本。かなり自信を掴んだ様子。マウンド上でも、自信が漲っているせいか大きく見える。5回表には1アウト満塁で、6番政野をホームゲッツーに仕留めた。
「もう、これで大丈夫でしょう。夏もやってくれると思う」と赤松副部長も喜んでいた。
 忠本は「高校入ってから、いまが一番楽しい!」と笑顔。1年秋の頃は、「中林と二本柱」として期待をかけられていた投手だ。それだけに、上田監督は「やっと忠本がいいピッチングをしてくれた」とホッとした表情。夏は中林ひとりでは戦えないのは、誰もがわかっていること。それがこの春の大会で、1年生の宮本を含めて、投手陣の層がグッと厚くなったのは間違いない。

 今日の試合。印象に残ったのが、1点差で迎えた、8回裏慶應の守備。桐光が1アウト一、三塁と攻め、打者は1番松本。どうやって守るかなと思っていたら、最初は二遊間を塁間よりも前に持っていき、バックホームを狙える位置に守っていた。「バックホーム体勢か…」と見ていると、ベンチから赤松副部長の「下がれ」の指示が飛ぶ。そこで二遊間は3歩ほど下がり、完全なゲッツー態勢に。これが見事にはまった。
 5番手の福山が、松本をセカンドゴロに打ち取り、4−4(自らベース踏む)−3のダブルプレーが完成。前進守備であれば、ホームのアウトひとつで、なお攻撃が続いていたと思われる。
 上田監督は「最初、二遊間が前に守っていたのは、こちらの指示が届いていなかったため。ベンチは最初からゲッツー態勢の予定だった。あそこは同点でもOKの場面」。
 普通、8回裏で1点リードなら、1点を守るが…、「同点OK」と考えるのが慶應らしいところだ。

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 というわけで、日吉対決が実現! 両校ともに最寄り駅は日吉駅。出口も同じ。歩いていけば、15分ぐらいで着く距離にある。監督同士は、日吉駅でよく飲んでいるとか。面白い試合になりそうです。
 ちなみに日大vs慶應は2年前の夏の緒戦で対決しており、このときは11−1で日大が圧勝した。日大の荒川はすでに4番捕手でスタメン出場を果たしていた。

 なお、この勝利で両校ともに関東大会出場が決定。



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