みのるの「野球日記」
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2004年11月10日(水) キャプテン斉藤勝

■11月1日 秋季都大会決勝
修徳 000 002 131|7
豊山 000 000 001|1

 9回裏、修徳のエース斉藤勝がマウンドに向かうと、三塁側の修徳応援席から大きな歓声が沸き起こった。ピッチング練習で一球投げるごとに、応援席は盛り上がる。夏の甲子園で2試合連続完封を遂げた左腕が、都大会の最後の最後でようやく登板を果たした。
 日大豊山の攻撃は3番福島和也から。斉藤はストレートを続け、カウント1−2。4球目、続けて投じたストレートがど真ん中へ。快音残した打球はレフトへ角度よく舞い上がり、いきなりのソロアーチとなった。ワタシの近くに座っていた修徳の関係者からは、「やっぱり、まだまだだな…」と苦笑いを浮かべていた。
 それでも、斉藤は後続を無難に打ち取り、最後の打者もカウント2−2から高めのストレートを振らせ空振り三振。その瞬間、斉藤はセンター方向をクルリと向き、両手を高く突き上げ、余裕たっぷりのガッツポーズを見せた。

「最後はみんなが、『カッコよく決めろ』って言うから、ああなりました。でも、ピッチング自体はみっともない内容で情けないです」
 試合後の斉藤は、不本意なピッチングのためか笑顔は見られなかった。斉藤は夏の甲子園が終わったあと、右ヒザを故障。続けて、左肩にも違和感を覚えた。秋の公式戦で登板したのはこの日の試合を除けば、ブロック大会決勝の江戸川戦のみ。修徳投手陣はエース不在のピンチを、ショート佐藤寛巳とファースト磯部泰、そして背番号10の藤田悠介らがカバーし、29年ぶりの優勝を成し遂げた。

 小田川雅彦監督は、目をウルウルさせながら話す。
「最高の展開になりました。夏の甲子園はマサルに勝たせてもらって。この秋はほかの選手が、『今度はおれたちが頑張って、マサルをセンバツに連れて行ってあげよう』と気持ちをひとつにしてくれました。マサルも投げられない中で、ベンチで大きな声出して、主将としての役割を果たしてくれた。成長したと思います」

 9月のはじめ、修徳高校グラウンドを訪れたときのことを思い出す。小田川先生に「キャプテンは誰になったんですか?」と聞くと、「マサルですよ。このチームをまとめられるのはマサルしかいない。マサルなら、やってくれると思います」と自信を持って話していた。

 10月16日に行なわれた2回戦の明大中野八王子との試合。斉藤はグラウンドコートを着込み、一塁側ベンチに座っていた。斉藤の定位置はベンチの一番奥、外野寄りだ。そこから一塁の磯部やライトに向って、守備位置を指示したり、声を飛ばす。チェンジになったときは、誰よりも速くベンチを飛び出し、選手を出迎えていた。

 優勝を決めたあと、斉藤は冗談っぽく、話していた。
「自分が投げていないのに優勝しちゃって、嬉しいけど、複雑です。ケガして投げられなくて、イライラして…。自分はこのチームにいなくてもいいのかなと思ったりして」
 そんな言葉に対して、1年生の磯部は言う。
「マサルさんがベンチから声を掛けてくれると、すごく落着くんです。ネクストにいるときも、傍まで来て、何か言ってくれたりして、頼りになる先輩です」
 決勝戦、9回のマウンドに上がったのは、監督の指示ではなく、先発した佐藤を中心とした選手の声だったという。
「ヒロミが、最後は『マサルが投げろ』って言ってくれて、すごく嬉しかったです」(斉藤)
 
 小田川先生は秋に相当なプレッシャーを感じていたという。
「夏のスタメンからひとりも抜けることなく、迎えた秋。だからこそ、かなりのプレッシャーがありました。周りからは『勝って当然』と見られる。そして、エースのマサルがいない。でもその中で、磯部や佐藤の投手陣が頑張ってくれて、優勝することができた」
 帝京戦では2失点完投勝利に、4打点の磯部。
「また甲子園にいけることが嬉しい。この秋はマサルさんがいない分、自分たちがやらないといけないと思っていました。周りの方は、修徳はマサルさんしかいないと思っているけど、そんなことはない、というところを見せたかったです」

 明後日から始まる神宮大会。修徳は東京代表として初出場を果たす。決勝戦のあと、斉藤は「神宮大会は、ぼくが投げる予定なので…」と話していたが、果たして登板はあるのか。注目してみましょう!


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