2004年07月15日(木) |
清野打法(藤嶺藤沢vs関東六浦) |
◆7月15日 神奈川大会2回戦 横浜スタジアム第2試合 藤嶺藤沢 2121402 | 12 関東六浦 0010000 | 1
藤嶺藤沢が2対0とリードして迎えた2回表の攻撃。2死三塁のチャンスに1番藤枝(左打ち)が打席に入った。藤枝はカウント2−2から低めのスライダーをバットを止めるようにしてチョコンと当てて、三遊間に高いバウンドを転がした。三塁手が捕ったとき、すでに藤枝は一塁ベースに到達しようか、という打球だった。 (ん? いまの何? 止めたバットに当たったのか? それとも意識してやったのか?) ベンチを見ると、「ナイスバッティング!」と声でもあげているのだろうか。藤枝に対して、拍手を送っていた。
今度は4回表、5−0とリードを広げた藤嶺藤沢の攻撃。先頭の9番笠石(右打ち)が同じような打ち方を見せた。カウント2−1から外のカーブをチョコンと当てる。ショートゴロに終わったが、明らかに通常とは違う打ち方。ボールがバットに当たると同時に、すでに一塁に体を向ける「走り打ち」、言葉を変えれば「当て逃げ」だった。
以降、注意深く見ていると、追い込まれるとどのバッターを「走り打ち」に徹していた。とにかく三遊間にゴロを転がして、内野安打を狙う。とくに8番を打つ左打ちの清野(せいの)は「走り打ち」で2本の内野安打を稼いだ。清野はクローズドに構える。すでに構えた時点で、三遊間に体をむけ、外角にボールが来たらこっちのもの。普段の5割くらいの力で軽くバットを振り、測ったように三遊間に転がしていた。
試合後の藤嶺藤沢・山田監督。 「あの打ち方、ウチでは『清野打法』と呼んでいます。春に鎌学と日藤に敗れ、県大会にすら出場できなかった。そのときに普通に打つだけでは勝てない、と改めて分かったんです。転がせば、何かが起きる。それで考えたのが、あの打ち方。7ヶ所でバッティング練習をやるときは、3ヶ所は『清野打法』のみ。ひたすら、徹底してやらせています」 『清野打法』という名前は、もちろん8番の清野からとった。清野は50メートル6秒3の俊足。昨秋は補欠だったが、春以降、この打ち方を習得しレギュラーを掴んだ。彼の打席は送りバントかセーフティーバントか走り打ちのみ。それでも、練習試合・公式戦を合わせた打率は4割を超えるという。
「じつは、この打ち方は法政二高で監督をされていた田丸さんや、武相の木本さんもやられていたんです。木本さんが藤嶺藤沢で甲子園に出場されたときも、使っていた打ち方。田丸さんは『受け止めて潰す』という表現をしておりました」 木本さんは藤嶺藤沢の監督に就いて1年目で甲子園出場を果たした。あとにも先にも、藤嶺藤沢が甲子園の土を踏んだのはこの1回のみ。そのときに使っていた打法である。 藤嶺藤沢の打法を見ながら、そして山田監督の話を訊きながら、フト思ったのが(ソフトボールに似ている)ということ。先日の朝日新聞にも載っていたが、女子ソフトには日本のお家芸ともいえる『スラップ』という打ち方があるらしい。 http://www.ne.jp/asahi/softball/get-win/bat44.htm ↑の説明ほど、極端な「走り打ち」ではないが、藤嶺藤沢の打ち方はそれに近いものがあった。策士・山田監督のことだから、ソフトボールから技術を学んだのかもしれないと思い、その辺りのことを聞いてみると、やはりそうだった。 「ケーブルテレビなんか観ていると、女子ソフトボールのリーグ戦をやっているんですよ。そこで、打ち方を学びました。パワーでは劣る日本が、技でアメリカやヨーロッパに勝とうということで考えられた打ち方ですよね」
藤嶺藤沢はもはや伝統ともいえるバント攻撃をこの日も見せた。投手がマウンドから下りてくる位置とは逆方向に転がす練習を徹底して行っている。 3回戦で戦う優勝候補・桐光学園について、話を向けると、山田監督は「自信あり」といった表情を見せた。 「第1試合観てましたけど、あのままの布陣でくるのなら、ウチに勝てるチャンスがある。去年の夏は1対3で負けましたが、今年はそれ以上戦える手ごたえがあります」 桐光の内野陣は決して万全とはいえない。特に三塁の村山は今日の第1試合でも、スローイングに不安なところを見せた。バントや『清野打法』で狙われたとき、桐光にとっては不安材料であるかもしれない。
「名実ともに桐光学園が上なのは分かっています。ウチの選手の中には桐光に入りたかったけど、ダメだった選手もいる。そういった彼らの意地をぶつけていきたい。チャレンジャー精神で戦っていきたいと思います」 昨夏の再戦、藤嶺藤沢対桐光学園は18日、相模原球場で行われる。藤嶺藤沢の技がどこまで通用するか、注目の一戦となる。
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