みのるの「野球日記」
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2004年04月13日(火) 元中学野球監督対決(市立船橋vs習志野)

 前日ネットで調べ物をしていたら、偶然春季千葉大会ブロック予選の組み合わせ表を発見。13日に船橋市民球場で市立船橋vs習志野があることが判明した。予定には全く入れていなかったが、(これは見に行かなくてはいかん!)と思い立ち、本日は船橋まで観戦の旅へ。旅といっても案外近く、我が家から1時間半で到着した。

(見に行かなくてはイカン!)と思い立ったのは、何も強豪同士の戦いだったからわけではない。両チームの監督ともに、中学野球出身の方だったからだ。
 市立船橋の石井忠道先生は常盤平中で全中ベスト4、松戸六中では01年全中準優勝を遂げている。翌02年から市立船橋に移り、野球部監督に就任。昨夏の千葉大会ではベスト4進出を果たした。
 一方の習志野・椎名勝先生は83年全中で習志野二中を率いて準優勝。決勝では現マリナーズの長谷川滋利がいた宝殿中(兵庫)に敗れた。習志野に移る00年秋まで、中学の千葉県大会を6度制覇。石井先生とともに、千葉の中学野球をリードする指導者だった。習志野でも就任1年目にチームを14年ぶりの夏の甲子園に導き、いきなり手腕を発揮し話題を呼んだ。

 そんな二人が指揮をとる試合は、1点を争う接戦となった。
 先手をとったのは2回裏の市船。5番山崎がレフト場外へ消える豪快なソロホームランを放ち、1点を先取。この山崎は松戸六中出身で、中学時代は石井先生の指導を受けた。石井先生が市船に移るとともに、山崎も市船へ入学。中学1年から高校3年まで、何と都合6年も同じ場所で野球をしていることになる。市船はほかにも3番細川、9番のキャッチャー赤沼が松戸六中出身。この3人は中学3年のとき、全中準優勝を果たした主力選手だった。
 
 1点を追う習志野は直後の3回表に、2死満塁から6番ヒラオカ(漢字不明)がセンターへの2点タイムリーで逆転。6回にも1点を追加し、3−1とリードを2点に広げた。

 市船は習志野のエースの前に(名前不明)、凡打のヤマ。ヒットが出ても牽制死で自らチャンスを潰すなど拙攻。球場の雰囲気もどことなく、習志野の勝利濃厚、という感じだった。
 だが、それを覆したのが1番の向後。6回裏にランナーを一塁におき、起死回生の同点2ランを放った。湧き上がる市船ベンチとは対照的に、静まる習志野側。市船は内野陣にもミスがあり、ゲーム内容ではここまで完全に習志野だった。それを一発で払拭した。

 が、市船の喜びもつかの間。最近の高校野球は打つ。打たなければ勝てないと思うほど。今度は7回表、習志野の6番金子にレフトへ勝ち越しホームランが飛び出した。(オイオイ、春の大会でこんなにホームランが出るのか…)と思いながら、金子のベース一周を眺めた。と同時に、やはりこんなところで当たるなんて、勿体ないカードだと思った。ともにこの試合で負ければ、夏はノーシード。それどころか、春季県大会への出場権すら失う。甲子園の常連ともいえる強豪がブロック大会で当たる…両者の負けられない意識が痛すぎるほど伝わってきた。

 その裏、市船はランナー二塁に置いて、6番福井がレフトオーバー二塁打で同点に。外野のエラーもあり、1死三塁のチャンスを迎えた。打席には7番木南。1死三塁といえば中学野球でよく見られる光景が、セーフティーエンドラン。内心、(ここでエンドランが見たい!)と思ったが、そこは高校野球。石井先生の選んだ策はスクイズだった。だが、これはピッチャーへの小フライと終わり。最悪の併殺。勝ち越しのチャンスを潰した。

 8回表、市船のエース渡辺知剛が四球のランナーを出すものの、何とか踏ん張りゼロに抑える。渡辺は「好投手」として評判を集める投手だが、今日のデキは今ひとつだった。簡単に四球を出したり、カウント不利になる場面が目立った。この日は10度を切ってるんじゃないかと思うほど冷え込んでいたので、その影響もあるかもしれないが。

 8回裏、市船は先頭打者がライトオーバーの二塁打。ライトは捕れない打球でもなかったが、若干目測を誤った。9番がバントできちっと送り、さきほどホームランの1番向後がセンターへ犠牲フライ。結局、これが決勝点となり、市船が5−4と接戦を制した。春の大会らしく(?)ミスもあったが、両者の勝利への意識をメラメラと感じる好試合だった。

 さて、お目当ての監督はというと…石井先生はじっと腕組みを組み、試合中静かに戦況を見つめる時間が多かった。ミスした選手を怒鳴ることもなく…、静かに静かに試合を見つめていた。市船ベンチで大声を上げたり、選手を鼓舞していたのが部長の長岡尚恭先生。普通、部長といえば…監督の陰に隠れて…というイメージだが、長岡先生の場合は違った。むしろ、ベンチでの姿を見る限り、石井先生が部長で、長岡先生が監督と見間違えるほど。じつは長岡先生も大穴中という千葉の県立中学で野球部を指導しており、昨春市船橋に移ってきた。つまり市船は両首脳が中学野球出身である。
 対する習志野の椎名先生は、赤いメガホンを口にあて、何度も何度も選手に檄を飛ばしていた。ベンチ上のスタンドから試合を見ていると、ベンチで叫ぶ椎名先生の声も耳に入ってきたほどだ。

 試合後、石井先生は「椎名先生とは中学時代は市の大会でも、県の決勝でも当たったことがある。いい仲間でしたよ」と言う。高校に移ってからは、今日が初めての対戦だったそうだ。「こんなところで当たるとは…」と苦笑いを浮かべていた。
 千葉は今日対戦したふたりのほか、市立松戸の嶌田孝先生、昨秋関東大会に出場した市立柏の福島紀和先生ら中学野球から移ってきた指導者が他県よりも多い。中学軟式野球ファンとしては、夏の決勝で中学野球出身同士の対決が見てみたい。


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