みのるの「野球日記」
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2004年04月11日(日) 「甲子園にはおれが連れて行く」(修徳高・斉藤勝)

 春季東京都大会4回戦、修徳vs日大豊山。この試合に勝てば都のベスト8入り。夏の大会の第二シード以上が確定となる。

 1−1の同点で迎えた7回裏。修徳は先発・小林聖(3年)が無死一、二塁のピンチを迎えた。ブルペンでは6回から投球練習を始めた背番号11の左腕・斉藤勝(2年)の姿が見える。小田川雅彦監督はブルペンに交代の合図を送り、斉藤が足早にマウンドに向かった。マウンドを下りる小林には三塁側スタンドから大きな拍手が送られた。

 エース番号を背負った3年生の小林は、右サイドスローの技巧派。驚くようなボールはないが、ストレートと変化球のコンビネーションで豊山を1失点に抑えた。修徳はベンチ入り20名中、3年生はわずか4人。一桁の背番号を着ける3年生は小林ただひとりである。小田川監督は「小林が3年生の意地を見せてくれた」と試合後、7回途中1失点の小林をたたえた。

 マウンドに上がった斉藤は、184センチ69キロの大型左腕。ここのところ、高校野球雑誌にも「注目投手」として名が載ることが多くなった投手だ。小田川監督曰く、「中学時代は相当なやんちゃ坊主」とのこと。「野球をやってなかったら…」なんて話をしていたこともある。
 斉藤は1年夏からベンチ入りを果たし、夏の都大会でもマウンドを経験。秋は主戦を任されるも、2回戦で堀越に敗退。「自分の守備のミスで負けてしまった。ひとりで野球をやってしまって、負けたのは自分のせいです」と振り返る斉藤。秋の敗戦で、冬場の練習への意識が相当変わったという。投げ方も、スリークォーターからサイドに変えた。「自分が一番腕を振ることができる位置がここ」(斉藤)。左のサイドスロー、しかも思い切りクロスに踏み込んでくる。左打者はかなり打ちにくそうなタイプである。

 無死一、二塁のピンチ。豊山は3番の斉藤望(左)が打席に入る。見るからに強気な顔をした斉藤勝は、初球からストレートを投げ込んだ。左打者の外角へストレートを三球。見事にコントロールされたストレートに、打者は手を出すことができず、見逃しの三振。斉藤は一球投げ終わるごとに、マウンドを数歩下りてきて、捕手からの返球をグラブでパン! と音が聞こえてきそうな勢いで掴み取る。早くボールが欲しくて、早く投げたくてしょうがないのか…。こういうタイプは波に乗るとグイグイくる。
 1死満塁で迎えるのは4番橋本。外角へカーブが外れたあと、キャッチャー長野はインコースに構えた。「右打者の内角が一番の得意球」と話すとおり、斉藤はインコースにキレのあるボールを投げ込んだ。内に2球ストレートを続け、カウント2−1。勝負球も内角ストレートを選択。橋本は力のないセカンドゴロを放ち、4−6−3のダブルプレー。無死一、二塁を見事な投球で切り抜けた。斉藤は満面の笑みでマウンドを下り、ベンチの小田川監督からは拍手で、控え選手からはハイタッチで迎えられた。
 
 ピンチのあとにはチャンスあり。
 8回表、3番田母神がヒットで出塁したあと、4番長島がライトへ2ランホームラン。その後はスクイズ、そして9回には田母神の2ランが飛び出し、終盤の8回9回で5点を追加。一気に試合を決めた。
 斉藤は9回に四球でランナーを出すものの、打者9人を無安打、3三振と見事なピッチングを見せた。それも三振はすべて見逃し三振。コースでいえば、右打者の内角が1度、左打者の外角が2度である。左のサイドスロー、そしてインステップを生かしたクロスファイヤーが存分に力を発揮した。

 斉藤は、秋の堀越戦の敗戦以来、「野球は全員でやるもの。それをいつも頭に入れてやってきた」と話す。チームメイトからも「もっと周りを見てやれ」と言われることが多いそうだ。この話を聞くだけで、斉藤がどんなタイプの性格か分かるのだが…。
 「負けるのが大嫌いなんで」という斉藤の今大会の目標は「優勝して、関東大会に出ること」。そして、帽子のツバには「甲子園にはオレが連れて行く」と書かれていた。いかにも斉藤らしい言葉である。
 
 来週の準々決勝、修徳の相手は一昨年秋の準決勝で大逆転負けを喫した国士舘。この試合に勝てば、夏の第1シード獲得が決まる。

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 今日の試合で光っていたのが、修徳の守備位置。外野手が「何でここにいるの?」という当たりが5本ほどあった。特に右打者の場合、センターが右中間、ライトはライン際を守る。打者のスイングスピードや構えによって、もちろん若干の差はあるが、ほぼその陣形で1試合を通した。「外野の位置がハマりましたね〜」と試合後、小田川監督も笑みを浮かべていた。そのセンターとライトを守る、高山和也(2年)と村上雄大(2年)は秋にはベンチ入りすらしていなかった。冬に力をつけ、レギュラーポジションを獲得した選手である。


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