みのるの「野球日記」
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2003年12月26日(金) キャッチボール

 『第4回愛知トレーニング交歓会』の2日目は、修徳学園中・小野寺信介先生と、刈谷東中・木野昌孝先生による技術指導が行われた。
 
 小野寺先生は修徳高校から日大に進み、大学時代は学生コーチとして、鈴木監督のもとで野球を学んだ。大学卒業後、修徳学園中の伝統を作り上げた小田川雅彦先生のあとを継ぎ、若干23歳で野球部の監督に就任。「かなりのプレッシャー」があったという就任1年目だったが、関東大会準優勝、全中3位という好成績を収めた。就任2年目の今年も2年連続で全中に出場し、決勝で明徳義塾中に敗れるも、創部最高成績となる準優勝に輝いた。

 小野寺先生の技術指導は、キャッチボールとフットワーク練習を中心に行われた。ともに修徳学園中、独特の練習方法である。キャッチボールは、右足一本で立って投げたり、股の間から投げたりと、バリエーションに富む。フットワーク練習は、5段階あり、ポジションに関係なく、入学時から徹底して取り組ませている。昨年今年と、全国大会で2年連続して好成績を収めたが、その原動力は鉄壁の守備にあった。「強打」も注目を集めたが、チームを支えたのは守備。チームがエラーで崩れるシーンは、一度も目にしたことがないほど、鍛えられていた。

 キャッチボールの練習中、小野寺先生が参加している選手を呼び集め、こんな話をした。
「試合中、自分の前に打球が飛んできたら、どうする?」
 飛び込んだら捕れそうな当たり、ということだ。
「試合だったら、飛び込むよな。勝ちたいから飛び込むよな。でも、こういう練習のときは平気でワンバンさせたりする。自分は、それは違うんじゃないかと思う」
 といいながら、ひとりの選手を目の前に呼び、選手から2メートルくらい離れた場所にボールを落とした。
「ほら、ここにボールが落ちた。試合だったら、どうする?」
「飛び込みます」
「じゃあ、ほら、飛び込んでみろ!」
 
 修徳学園中のグラウンドは驚くほど狭い。一塁側ベース、約5メートル後方には体育館があり、ライトはないといってもいい環境。四方が校舎に囲まれており、バッティング練習も思いっきりできない。
「グラウンドが狭いから、ノックもできない。だから、キャッチボールから大切にしないといけない。うちはキャッチボールでも、捕れそうなボールは飛び込ませる。そうすることで、ボールを捕る側も、ボールに対する準備ができる」

 今夏、岩見沢で行われた全中。2回戦の前に、修徳学園中の練習を見る機会があった。これが中学生がやるキャッチボールか、とかなり驚いた。ボールを受ける側は、どんなボールにも対応できるよう両ヒザを柔らかくして構え、ワンバンでも飛び込む姿勢を見せていた。内野手はキャッチボールの中で、中継プレーを想定した足の運びを見せたり、ゲッツーを頭に入れた動きをしたりと、練習の段階で、つねに試合をイメージしていた。日頃の練習から、小野寺先生が相当意識させていたのだと思う。
 
 練習や試合前のキャッチボールを見るだけでも、そのチームの野球に対する取り組み方が分かる。とくに中学野球の場合はそう思う。

 神奈川の私学の監督さんが以前、こんなことを話していた。甲子園常連のA高校の指導者に「キャッチボールはどうやって教えてますか?」と訊いたら、「うちはキャッチボールできない選手は獲らないから」と、思いがけない言葉が返ってきたという。
 その私学の監督さんは、「中学校の練習を見ている方がよっぽど勉強になる」と話す。中学生はキャッチボールどころか、ボールを捕れない選手や、ボールの握り方すら知らない選手まで、個人のレベルが幅広い。そういった選手をどうやって教えるか。監督さんは「中学校の先生は本当によく仕込んでいる」と表現した。


 小野寺先生率いる修徳学園中は、今秋の都大会でブロック予選敗退。全中準優勝の原動力となった3年生がごっそりと抜け、新チームは文字通りゼロからのスタートとなった。また8月中旬まで全中を戦っていたため、新チームの練習に着手する時間も短かった。
 「今年の修徳は苦しい」という声も耳にする。この冬から来春にかけて、小野寺先生がどうチームを鍛え上げるか。愛知で小野寺先生のキメ細やかな指導、そして熱血指導を見て、修徳学園中の成長度合いが一段と楽しみになった。

 また今年の中学3年生は付属の修徳高校含め、東京、埼玉、茨城などの強豪私学に進む。中学で成し遂げられなかった「日本一」という目標を、高校野球で叶えて欲しい。


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