みのるの「野球日記」
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2003年12月22日(月) 試合のスピード

 秋季関東大会の準決勝終了後、土浦湖北の小川幸男監督はこんな言葉を口にした。
「甲府工業とは試合のスピードが違いますから、負けるわけにはいかないと思いました」
 今年1年、耳にした言葉の中で、印象に残る言葉のひとつだった。

『ベースボールクリニック 10月号』に小川監督が登場している。そこでも、興味深いことをコメントしている(以下、抜粋)。
「報徳学園と練習試合をする機会があったのですが、最も大きな差と感じたのは、プレーするスピード。一死一、二塁の場面でヒットエンドランを仕掛けられたところ、ウチの野手はついていくことができなかったですからね。練習では、最初のグラウンド整備からスピーディに行ったり、メニューのチェンジを素早くするなど、スピード感を心掛けてはいるのですが、このあたりも課題です」

 試合のスピード、プレーするスピード……。
 正直いうと、甲府工業のスピードがそれほど遅いとは感じなかった。攻守交替のスピードなどは、確かに土浦湖北の方がキビキビとしていたかもしれない。でも、小川監督のいう「スピード」とはそんなに単純なものなのだろうか……。

 中学野球を見ていると、高校野球以上に「スピード」の差を感じやすい。
 もっともスピードを感じるのが、修徳学園中の野球だ。攻守交替での全力疾走はもちろん、すべてのプレーをスピーディに行う。速いだけでない、ひとつひとつのプレーに対しての想いが観るものに伝わってくる。

 背景には、東京都ならではの規則がある。
 東京都の中学野球の試合では、全国でおそらく唯一といって良い、時間制限がある。夏の公式戦でも、もちろん適用される。1試合、1時間50分と決められているのだ。そのため、5回や6回で終了することが多々ある(中学野球は7回制)。
「攻撃力」が持ち味の修徳学園中は、1イニングでも攻撃機会を増やそうと、無駄な時間を費やさないようにしている。そのひとつが、ボール回しをしないこと。アウトをとれば、ボールはすぐに投手へ渡す。これは、関東大会や全中でも見られた。規則上、関東や全中に行けば、ボール回しをしても問題ない。だが、修徳学園中はいつも同じようにプレーした。

 前任の小田川雅彦先生(現修徳学園高監督)は、
「ボール回しをしないのが、学園中のリズム。東京都の大会からやっていることなので、そのリズムを崩したくないんです」と説明する。

 全中に行っても、修徳学園中のスピードは群を抜いていた。
 東京都の先生は、こんな話をする。
「修徳中と試合をすると、いつの間にか、修徳中のリズムに引き込まれてしまう。特に1時間50分という時間の中で、修徳中に勝つのはかなり大変なことです」

 リズムが悪くなったとき、劣勢に立ったとき、「スピード」でグイグイと引き込み、再び自らのペースに持ち込む。修徳学園中の試合で、何度かそんな展開を見たことがある。

 来年は、「試合のスピード」「プレーのスピード」に視点をおいて、野球を見てみたいと思う。小川監督の言葉の意味深さを、もっと追求したい。 

 この小川監督、先月の神宮大会ではもっとも目立っていた監督だった(と思う)。ベンチから甲高い声で、選手に叱咤激励を与える。
 2回、大阪桐蔭に先制HRを打たれた時は、キャッチャーに向って、大きな声で叫んでいた。
「迷ったらダメだよ!お前が迷ったらダメなんだよ!」
 公式戦になると、普通はベンチで説教やアドバイスをするもの。でも、小川監督は試合中に、しかもベンチから、それを行っていた。
 
 来春センバツ出場が確定的な土浦湖北。スピードのほかに、ベンチから送る小川監督の甲高い声にも注目したい。


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