2003年09月20日(土) |
即席スライダー(横浜商大vs金沢) |
◇秋季神奈川大会 4回戦(保土ヶ谷球場) 金沢高校 000 000 000 0 横浜商大 012 000 00× 3
台風の影響で昼前から雨予報の神奈川南部。保土ヶ谷球場に向かう電車に乗っていると、すでに小雨が降ってきた。 第1試合の試合開始予定は11時。少々、寝坊したせいもあり、球場に着いたのは開始ギリギリの10時50分。ところが……、スコアボードに目をやると、すでに1回表の金沢の攻撃が終了していた。何時に始まったんだ……。春や秋の大会では、予定時刻よりも早く開始することはよくあるが、今回は雨予報を考えてのことだろうか。 スタンド上方の屋根に覆われた席に落ち着いたあと、再びスコアボードに目をやる。横浜商大の先発がエースの田澤ではなく、1年生左腕の星であることに気づいた。夏の大会とは違い、準決勝・決勝以外は連戦のない秋の大会。最後までエース田澤で行くかと思ったが、金沢監督は2番手投手を持ってきた。 星は夏の甲子園で、1年生ながら唯一ベンチ入りした商大期待の投手だ。星を初めて見たのは、先週の武相戦終了後のこと。エース田澤が完投したこともあり、試合終了後、商大グラウンドのブルペンでは控え投手4、5人がピッチング練習をしていた。星もその中に混じり投げていた。ブルペンで見た印象は、球のキレはあるが、コントロールは悪い。大舞台で使うにはまだまだ怖いかな、という印象だった。
2回表から見た星は、印象どおりのピッチャーだった。良いボールと悪いボールがはっきりしている。最もキレていたのが、タテに落ちるスライダー。このスライダーで、カウントを整え、空振りもとっていた。ただ、ワンバウンドになる球も多く、ワイルドピッチでランナーを進めるケースが3度あった。 結局、7回途中まで投げ、被安打1の無失点ピッチ。結果だけ見たら、上々のピッチングである。星はこの日が公式戦初登場。負けたらセンバツが消える舞台で、チームの期待には十分応えた。 試合終了後、金沢監督は、「星がよく投げてくれた。公式戦初先発で、あれだけ投げてくれれば十分です」と星のピッチングを称えた。 投球の軸となっていたスライダーは、「昨日教えた即席スライダーなんですよ」(←神奈川新聞にも書いていましたが)とびっくり発言。「星はコントロールが悪いから、ストライクをとれる球がどうしても必要。タテに割れるカーブも良いんですけどね、それだけではゲームを作れないから」と監督。 そして、正直な心境も明かしていた。 「本当はまだスライダーは早いんですよ。でも、試合があったら勝たないといけないからね……」 スライダーを試合前日に教えたことについて、 「スライダーを覚えると、ストレートの球速が落ちてしまうから」 まだ1年生の星にとっては、まずはストレートのキレとコントロールをつけることが重要。でも、試合に投げさせるには、それだけでは通用しない。結果を追うか、育成に絞るか。金沢監督のジレンマが垣間見えた。 商大は星のあと、2年生の城間を繋いで、金沢を完封で下した。城間は右サイドスロー。「技巧派」という言葉がぴたりと合う投手だ。右打者の背中から曲がってくるような、大きな曲がりのカーブが武器。金沢は全くタイミングが合っていなかった。 投手陣については「田澤だけだと情けないからね。2番手以下も使えるようにならないと。城間もよく投げてくれた」と笑みを浮かべる。 1年生に大瀬良という好投手もいる。夏の大会も事前登録はされていたが、指の故障でメンバー外に。監督によれば、「あとは大瀬良だね。もう指も治ってきているし、楽しみにしているよ」と期待を寄せていた。 準々決勝は横浜を下した横浜隼人と対戦。金沢監督と、隼人の水谷監督は、親交の深い 仲良し監督。「28日の隼人戦が勝負だね。今日の相模大野戦も先週の横浜戦も、ビデオに録ってあるから……」と自信あり気な表情を見せていた。 主将の菊地は、「隼人の藤原は好投手。内角をどんどん攻めてくると思うので、それを打ち返したい。今日は投手陣に助けてもらったので、隼人戦は打って田澤を助けたい」とこちらも気合十分だった。
<金沢> (左) 太田(2年・鷹取) (遊) 青木(2年・釜利谷) (三) 前原(2年・洋光台一) (中) 古嶋(2年・森) (捕) 久松(2年・釜利谷) (投) 高橋(2年・富岡東) (右) 山本(2年・森) (一) 久下(2年・汐見台) 打一 三浦(2年・富岡) (二) 大庭(2年・六浦)
投手 高橋
<横浜商大> (遊) 武田(2年・大庭) (三) 楠 (2年・上矢部) (一) 菊地(2年・寺尾) (左) 木全(2年・上溝) (中) 河西(2年・京町) (捕) 宮本(2年・南大師) (二) 杉山(1年・瀬谷) (投) 星 (1年・川和) 投 城間(2年・高浜) (右) 西戸(2年・西柴)
投手 星 城間
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平塚学園 000 00 0 桐蔭学園 000 00 0 (5回降雨コールドノーゲーム)
なお、第2試合の桐蔭学園対平塚学園は、(予想通り)5回降雨コールドノーゲーム。先週欠場した桐蔭学園の主砲・望月は2試合連続でスタメン落ちも、代打で登場。少々ホッとした。 0−0で迎えた4回裏、2死一、二塁のチャンスに登場。しかし、平塚学園先発の原(右投げ)の前に見逃し三振。外角ストレート、内角ストレートを見逃し、カウント2−0。1球外角に見せられたあと、勝負球は定石通り、内角ストレート。望月のバットはぴくりとも動かず三振。一度もバットを振ることができなかった。
望月に対し、真っ向勝負のインコースストレートで攻めた平塚学園の原。背番号は10。この試合で初めて見たが、強気のピッチングが光った。桐蔭3番の長谷部に対してもインコースをぐいぐい攻め、右打者に対しては、ナチュラルシュートで懐をついた。エース番号を着けた1年生左腕の上野の状態が万全でないようなので、平学はこの原次第となりそうだ。23日に行われる再試合に注目。
<平塚学園> (三) 小暮(2年・東京御成門) (二) 長田(2年・保土ヶ谷) (中) 山本(2年・静岡原野谷) (一) 秋山(2年・大泉) (投) 原 (2年・鴨宮) (左) 茂木(2年・荏田南) 左 宮田(2年・南戸塚) (右) 上野(1年・横浜) (捕) 樋口(2年・今泉) (遊) 斉藤達(1年・保土ヶ谷)
投手 原
<桐蔭学園> (中) 上田 (2年・川中島) (三) 涌井 (1年・栃木陽東) (右) 長谷部(2年・蓮田) (左) 田中 (2年・明徳義塾) (投) 渡邊 (2年・明徳義塾) (遊) 藤川 (2年・調布第三) (捕) 須田 (2年・沼間) (一) 小川 (2年・金旭) (二) 榎本 (1年・青葉台) 打 望月 (1年・みたけ台) 二 関 (2年・国府)
投手 渡邊
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