みのるの「野球日記」
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2003年07月22日(火) 徹底した外角攻め(鎌倉学園vs法政二)

 鎌倉学園の先発は、この夏初登場の2年生エースの左腕・前橋健太。少し担ぎ上げるような変則フォームから、ストレート、タテのスライダー(カーブ?)を投げ込んでくる。
「法政二高の応援がすごくて、緊張してしまった」という立ち上がり、ストレートを中心に、無難に三者凡退に抑える。味方が1点を先制した直後の2回表にはスライダーを交え始め、四球をひとつ出すものの、無得点に抑えた。

 最初に迎えた山場は3回表。3アウトチェンジかと思われたショートゴロを、駒田和也(3年)が一塁へ悪送球をしてしまい、そこからピンチが広がる。2死一、三塁から、3番平野裕(3年)にライト前タイムリーを浴び、1対1の同点に。4番吉永真之(3年)には四球を与え、2死満塁のピンチ。迎えるは5番の左打者・駒村剛史(3年)。
 鎌倉学園の武田隆監督は、「本当はあそこで前橋を替えようかと思った」と試合後に振り返る場面だった。でも、我慢して、前橋に託した。

 今年の鎌倉学園は、この日先発した前橋のほかに、ショートを守る駒田、背番号10を着ける金子智孝(2年)と、3投手の継投で臨んでいる。今年は昨年の木下(現神奈川大)のような大エースがいない。それだけに、継投策が勝負を分ける。
 前橋を先発起用したことについては「法政二の1番と5番をどうしても抑えたかった」と武田監督。1番は八橋祐太(3年)、5番は駒村。ともに左打者である。サウスポーの前橋を起用し、左二人を封じ込めようと考えていた。

 3回表。満塁のピンチで、打席に入るのはその駒村。武田監督が交代を我慢した裏には、「左打者だったから抑えてくれる」という思いがあった。しかし、思いとは裏腹に、前橋は制球を乱す。カーブが1球、ストレートが2球外れ、カウント0−3に。
 そのときの心境を試合後、前橋に聞くと、「あのランナーを出したら、もう交替だと思ったので、開き直って、全部外角のストレートで行こうと思いました」と照れ笑い。それでも「開き直って」といいながら、ちゃんとした計算があった。
「法政二が神奈川工業とやった試合を見ていて、打っていたのは全部内角のボールだったんです。外角のスライダーやストレートは全然打てていなかったので、外中心に攻めようと思っていました」
 前橋は駒村に対し、外角ストレートを続け、最後は少し甘めに入ったストレートだったが、空振り三振に仕留めた。マウンドで、前橋は勝利を決めたようにガッツポーズを見せた。

 これで波に乗っていけるかと思った前橋だが、続く4回には、ヒットと2四球でまたしても満塁のピンチを作った。さすがに今度は交替を告げられ、ライトに下がった。
 マウンドに上がったのはショートの駒田。変わった直後、2番の池澤にストレートの四球を与え、押し出しで2対1と勝ち越される。後続は何とか打ち取り、最少失点でピンチを切り抜けた。

 先発した前橋について、武田監督は苦笑いを浮かべながら、こう話した。
「あれが前橋なんですよ。四球出して、ランナー出して、それでも何とか抑える。ほんと、あれが前橋なんです」
 今日の試合で初めて前橋を見たが、監督の言葉の意味がすごくよく分かった。「あれが前橋」と二度も続ける意味も分かる。
 前橋は3回2死で降板。打者19人に対し、2安打、5四球、3三振という内容だった。打たれたわけではない……。

 その後、試合は鎌学が4回裏に同点に追い付くと、6回7回と2点づつ加点。前橋を引き継いだ駒田は、4回の押し出しの四球以外は、要所をきっちりと締めた。特に光ったのが、外角のスライダー。ストライクからボールになるスライダーに、法政二はまったく対応できず、凡打の山。
 この試合で徹底していたのが、鎌学バッテリーの徹底した外角攻め。3回、満塁の場面で、駒村に対する攻めもそうだった。その辺りを捕手の福井邦彦(3年)に訊くと、前橋と同じような答えが返ってきた。
「神奈川工戦をビデオで見て、法政二は外角が弱いと感じました。特にスライダーは打てないんじゃないかと」
 言葉の通り、駒田のスライダーが冴え渡った。また、先発した前橋も、右打者の外角のストレートがすべてシュート回転するタイプの投手。本人も「少し意識している」と話す。外角に弱い法政二にとっては、やりづらい相手だった。

 法政二の各打者は、右打者ならステップする左足が、すべてアウトステップ。中村紀洋まではいかないが。外角中心に攻められていながら、踏み込んで打つなど、対策があまり見えなかった。外角のスライダーに対し、腰が入らず、当てただけの飛球が目立った。
 法政二は、いつも見るたびに思うが、真ん中から内寄りの球にはめっぽう強い。伝統なのだろうか……。去年の夏は横浜を下すなど、古豪復活の兆しを見せた。今年も川和、神奈川工と実力校を撃破。それでも、「甲子園」となると、まだまだ遠くにあるように思う……。

 鎌学の前橋に話しを訊いていて、少し驚き。シニアの名門、緑東シニア出身とのこと。緑東というと、進学先として、横浜や桐光、商大などを思い出すが、鎌学にも来るんだ……と。
「自分はエースじゃなかったんで」と、前橋は小さな声で控え目に話していたが。ちなみに、そのときのエースは桐光に進んだ。
 前橋は目標とする選手として、石井一久(高校生に人気ありすぎ。なぜ?)とともに、シニアの先輩高井雄平を挙げていた。
「一緒に練習をしたこともありますし、先輩に追い付きたいです」と前橋。
 少々、あれ球のところが似ているかな?!

 試合と関係ないけど……、それにしても鎌学の応援は毎年すごい! 
 まだ見たことがない方、必見です。賛否両論、色々とありそうですが……。


◇神奈川大会3回戦
 法政二高 001 100 000 2
 鎌倉学園 100 102 20× 6


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