みのるの「野球日記」
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2003年07月05日(土) 満塁で押し出しサヨナラ

 5月にベースボールマガジン社から発売された『日米プロ野球珍場面名ジャッジ』が面白い。元パ・リーグ記録部長の千葉功さんが執筆され、『週間ベースボール』誌上で連載している「実例で見るルール教室」を修正・加筆した本である。

 その中に、「満塁でサヨナラ押し出しのとき、一塁走者が二塁を踏まなかったら得点は認められるか?」というテーマ(問い)がある。答えは「認められる。四球でサヨナラ勝ちのときは、打者と三塁走者がきちんと進塁すればそれで良い」

 上の問題に関することは野球規則4.09(b)にこう書かれている。

「正式試合の最終回の裏、または延長回の裏、満塁で、打者が四死球、その他のプレーで一塁を与えられたために走者となったので、三塁走者が本塁に進まねばならなくなり、得点すれば勝利を決する一点となる場合には、球審はその走者が本塁に触れるとともに、打者が一塁に触れるまで、試合の終了を宣告してはならない」

 そして【注】として以下が記されている。

「たとえば、最終回の裏、満塁で打者が四球を得たので決勝点が記録されるような場合、次塁に進んで触れる義務を負うのは、三塁走者と打者走者だけである。三塁走者または打者走者が適宜な時間がたっても、その義務を果たそうとしなかった場合に限って、審判員は、守備側のアピールを待つことなくアウトの宣告を下す(以下略)」

 つまり、二死満塁で押し出し四球の場合、三塁走者が本塁を踏んでも、一塁走者が一塁を踏まなければ、得点は認められないということである。

 
 3月に行われた「中学校野球交歓会金沢大会」、東林中vs星稜中の試合で、こんな場面があった。2対2で迎えた7回裏(最終回)。星稜中は1死満塁から、四球を選び、三塁走者が本塁を踏み、サヨナラ勝ち。ところが、打者走者は、一塁へ進む意志を見せずに、早々と試合終了後の挨拶の列に加わろうとした。それを見て、東林中ベンチから審判にアピール(はじめ言い出したのは、たまたまベンチにいた私なんですが…)。
 
 私の頭の中には、「確か、四球で押し出しの場合は、バッターが一塁ベースを踏まないと、得点が成立しなかったんだよなぁ」と、ちょっとばかり漠然とした考えがあった。
 一応、元野球少年でもあり、3年前にはセ・リーグ公式記録員の試験を受けたこともある。そのとき、ルールブックを読み漁り、ルールを一通り勉強した。結果、100倍とも言われた超激戦の筆記試験(主にルール問題)を通り抜けることができた。そのときの財産(?)が頭に残っており、「あれ? 一塁踏まなくていいのかな…」という思いが浮かんだのだ。
  
 で、東林中・佐相先生が主審にアピールに。主審の反応はこんな感じだったらしい。
「え〜、プロにはそういうのがあるんですけど、アマチュアには特別ルールがあって、一塁踏まなくても良いんです」
 ベンチに戻ってきた先生は、「プロとアマにそんな違いはないだろう。プロもアマも一緒だろうが!」と怒り心頭。
 結局、もちろん得点は認められ、3対2で星稜中のサヨナラ勝ちとなった。

 後日、野球規則を読んでみると、上記で紹介した4.09(b)の続きに、このプレーに該当する記述があった。
「無死または一死のとき、打者走者があえて一塁に進もうとせず、かつこれに触れようとしなかった場合には、その得点は記録されるが、打者走者はアウトを宣告される」

 星稜中の場合、打者走者が一塁に進まなかったが、一死だったため、得点は認められる。だが、打者走者はアウトとなる。
 ん……、そのときの主審は「アウト」の宣告なんて、何もしなかったけど……。

 もし、これが二死満塁だったとして、打者走者が一塁へ進まなかったら、あの主審は「アウト」と宣告できたのだろうか。かなり、疑わしい……。
 それに、全中・全日本ともに日本一の経験のある星稜中が、いくら得点が認められる場面といえ、一塁への進塁を怠るのはどうなのだろうか……。ある石川県の中学野球の指導者が「山本先生が高校に移られてから、星稜中の野球は甘くなった」とおっしゃっていたが、このプレーから、その言葉の意味が分かった気がした。

 とはいっても、自分が中学生の頃を振り返ると、野球のルールなんて勉強したことはなかった。「インフィールドフライを落球したらどうなるか」「内野を通り過ぎた打球が審判に当った場合はどうなるか」などなど。実際に起こる可能性があるにも関わらず、詳しいルールはほとんど知らずに野球をやっていたことを思い出す。

 神奈川は中学も高校も、今週末から夏の大会が始まる。どちらも参加校が多いため、1日にこなす試合数が必然的に多くなる。となると、どういうことが起こるか……。レベルの高い審判が不足する。中学の野球なんて、レベル的にかなりひどい。だから、選手がルールを分かっていないと、間違った判定をされても、アピールができない(といっても、選手にアピールする権利はないが……)。

 そんなわけで、残り約1週間。選手のみなさん、技術を磨くのもいいですが、ルールの再確認もしましょう。


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