2002年12月01日(日) |
早稲田大学・越智大祐投手 |
去年の『報知高校野球』を読んでいたら、現在早稲田大学1年の越智大祐投手(愛媛・新田高校出身)が写真入りで掲載されていた。今と変わらぬダイナミックなフォーム。「183cm、82kgの恵まれた身体を生かし……(中略)、投げ込む速球はMAX142km」と紹介している。 やっぱり、高校時代から球は速かったんだなぁと思って読んでいたら、ビックリビックリ! 「正捕手争いに敗れ、一昨年の11月に投手に転向」と書いていた。思わず「え?!」と声を上げてしまった。あの越智が元捕手、しかも正捕手争いに負けたなんて……。捕手でレギュラーを掴んでいれば、「投手・越智」は誕生しなかったということか。不思議な感じがする。ちなみに3年の夏の大会は初戦、今治西に5−6で惜敗している(春は愛媛県大会優勝)。
今秋のリーグ戦。越智は第2戦で先発を任されたが、完投はゼロ。第3節の明大戦では1回3分の2で、第4節の立大戦でも3回3分の0でノックアウトされた。 春と秋の成績を見てみると、 春 7試合(先発6試合) 2勝0敗 21回2/3 16三振 19安打 1本塁打 7四死球 防御率2.91 秋 5試合(先発5試合) 2勝0敗 21回2/3 28三振 26安打 1本塁打 4四死球 防御率3.74
ともに21回3分の2イニングを投げ、2勝0敗。秋は春に比べ、三振も増えたが、安打数も増えた。「第2戦の先発」としては、まずまず(上出来?)といったところだろうか。
リーグ戦終了後の神宮大会。越智は初戦の広島大戦で先発し、5回を無安打、5三振、無失点の好投を見せた。 翌日の東北福祉大戦の先発はエース和田。和田は6回を投げ、5失点。本来の調子とはほど遠く、野村監督は7回から越智をマウンドに送った。1イニングだけ投げ、3者凡退に抑えた。
試合後、選手控え室の出口には、大勢のファンが詰め掛けていた。バラバラと早大の選手が出てきた。長身の越智はひときわ目立った。 「和田さんのあとに投げるとは、まさか思ってませんでした……」。 越智にとって、公式戦で和田のあとを継ぐのはこの日が初めてだった。そして、最初で最後となった。 「和田さんには練習に臨む姿勢や、勝てるピッチング術を教えてもらいました。今日ではなくて、明日……。4年生とできる野球を明日終わらせたかったです」
来年の早大は、和田の卒業でエース争いが繰り広げられる。第1戦に先発するのは中継ぎで着実に実績を残してきた左腕清水(3年)か、それとも越智か。そして、来春には有望新人が多数入部してくる。しかも、投手に逸材が揃った。センバツ優勝投手・大谷(報徳学園)にセンバツベスト4の宮本(関西)、プロも注目した福本(高知)など。越智にこの話を向けると、 「う〜ん、まだ他の人のことを考えられる余裕はないです。今は自分のことで精一杯です。エース争いとかも、まだまだ先の話です。とにかく今は自分でやれることをやるだけです」
越智といえば、常に145km前後を記録するストレートが注目されている。現在の最高速は「147km」だという。「目標は150km」かと思いきや、違った。 「スピードはもういいです。いくら早くても甘く行くと打たれることが分かりましたから。この冬は下半身を鍛えて、安定したコントロールをつけられるようになりたい」
和田をはじめ、長田(慶大)、多田野(立大)、土居(法大)といったエースが今秋卒業した。それぞれの大学で、第1戦の先発を争い、早くも熾烈な争いが始まっていると思う。 来春、一回り大きくなった越智が、早大の第1戦のマウンドに上ることを、今から楽しみにしたい。
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