みのるの「野球日記」
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2002年08月11日(日) 桐光学園全国制覇を目指し(12) 夏の甲子園初勝利!

 8月10日。第84回全国高校野球選手権大会3日目、第2試合。桐光学園は鳥栖を延長13回、3−0で下し、夏の甲子園初勝利を挙げた。
 エース清原が13回を11奪三振、7安打の完封勝利。主将であり、女房役でもある船井が決勝の3点ランニングホームラン。バッテリーの活躍で、2回戦進出を決めた。

 
 本当は、甲府で中学校の関東大会決勝戦を見る予定だった。だが、お目当ての東林中が8日に行われた初戦で敗退。負けた日の夜中、桐光の初戦を日帰りで見に行くことを決めた。初戦を見なければ…、嫌な胸騒ぎがしていた。

 胸騒ぎの一番の要因は、エースの清原。神奈川大会の疲労からどこまで回復しているか。肉体的なものと、精神的疲労。不安が募った。

 1回裏。投球練習を始める清原。一塁側内野スタンドから清原を見つめる。初球、ストレートが高目に抜ける。キャッチャーの船井がミットをはめた左手と体を目一杯伸ばして、やっと捕球できるほどの高いボールだった。2球目、3球目、そして4球目。ストレートが全て高めに抜けた。

 不安がますます募る。「船井、カーブ投げさせろ!」と心の中で呟いた。緊張しがちな立ち上がり、それでいて甲子園という大舞台。東林中時代から緊張しやすい清原のこと、さぞや“大”緊張をしているはず。緊張して固まった手首をほぐすには、変化球を投げさせて軟らかくさせるのが良いと聞いたことがあった。

 5球目。初めてカーブを投げた。真ん中低めへのナイスボール。やっと、ストライクが入った。6球目もカーブ。ストライク。そしてラスト7球目。クイック気味にストレートを外角低目へ投げ込んだ。最高のボールだった。「よし、これで大丈夫」、一緒に観戦していた清原の恩師、東林中・佐相先生が言った。私も同感。いつもの清原に戻ったと思った。

 13回まで、何度もピンチを招きながら、いつものようにノラリクラリとアウトを重ねて行った。2死から簡単にランナーを出す。調子に乗ったと思ったら、すぐにカウント0−2になる。でも、相手打線を抑える。中学から、そして桐光に入学してからも変わらぬ清原の持ち味が、甲子園でも発揮された。

「立ち上がり、緊張しました。乗って行けるようになったのは、3回くらいから。今日はカーブが入らなくて、苦しかった。点数をつけるとすれば、50点くらいです」

 確かに苦しいピッチングだった。得意のカーブが神奈川大会ほど決まらず、打線も点が取れない。「先に1点を与えた方が負け」そんな展開だった。それでも、清原は粘り強く、辛抱強く13回を投げ続けた。

 13回表。船井が決勝打を放ったとき、清原の目には涙が浮かんでいた。「延長に入ってから、ずっと苦しかった」と話す清原のピッチングが、ようやく報われた瞬間だった。「1点でも良かったのに3点ももらって、ありがたかった。船井が打ってくれたので、最後は気力で投げました」
 

 決勝打の船井。延長12回裏、左足首を負傷し、ベンチで治療を受けた。約8分間、プレーが中断した。
「清原を暑い中で待たせるわけにはいかない。早く戻らないといけない」
 治療中、ずっとそのことを考えていたと話す。

 神奈川大会、決勝戦終了後の船井の言葉。
「清原が何も考えないで、ピッチングだけに専念できるようにさせてやりたい。甲子園では清原のカベになってあげたい。気を遣わせないで、ピッチングだけに集中できるようにさせてあげたい」

 清原は船井のサインに対し、いつもと同じように一度もクビを振らなかった。「サインは全部船井に任せてますから。ぼくはそれを信じて、サイン通りに投げるだけです」
 
 2年秋からバッテリーを組んできた清原と船井。初めて臨んだ公式戦は、昨夏の8月25日。秋のブロック予選、法政二を相手に3−7で完敗した。「このチーム、どうなるんだろうと思いました。自分が焦って、チームも焦って、あの頃が一番苦労しました」と、船井は言う。

 あれから1年。桐光を支えるバッテリーは、大きく大きく成長した。神奈川代表のバッテリーとして、甲子園の大舞台で記憶に残る好勝負を演出してくれた。

 
 桐光学園、全国制覇まであと5勝。
 


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