悲しくなったとき、泣きたくなったとき、何かを思い出したくなったとき、私は必ずゆずを聴く。元気なとき、物事が順調に進んでいるときは、決して聴かない。 3年前の夏。初めてゆずを聴いた。女友達が言っていた。「失恋したときは、ゆずがいいよ」。その通りだった。ブルーな心が、さらにブルーになった。『いつか』『サヨナラバス』。気持ちを代弁してくれているようだった。 同じ年の夏の甲子園。桐生第一が初優勝を飾った。その夜放送された『熱闘甲子園』。エンディングテーマを聴きながら、ずっと泣いていた。録画したビデオを何度も巻き戻し、何度もエンディングテーマを聴いた。初めて耳にする曲だった。敗れ去った球児が涙をこぼす映像に、見事にマッチしていた。でも、私の心には違う映像が写っていたかもしれない。画面の右下には、「ゆず『今』」と表示されていた。翌日、近所のツタヤでCDを借りた。『今』を繰り返し聴いた。『今』はこう始まる。
「今、あなたは自分の夢を誰かに語れますか?」
1週間ほど前、25歳になった。数日後、ゆずを聴いた。聴かないと、自分がどうにかなりそうだった。そんな心境だった。 ほぼ1年ぶりに『今』を聴いた。『いつか』も『サヨナラバス』も聴いた。色んなことを思い出した。思い出しながら、あれから自分は成長したのだろうかと自問自答していた。
『今』を耳にすると、胸が締め付けられる。出だしでやられる。「夢を誰かに語れるか?」そんなド真ん中の直球で訊かれると、200%の覚悟と自信がないと打ち返せない。とりあえず今はファウルで逃げている。でも、このまま行ったらそのうち打ち取られるだろう。
もう25歳? まだ25歳? 今後の自分次第だ。
|