さてさて、俺のソープ初体験は後悔の嵐に終ったわけだけど、 まだその続きがあるのだ。
ソープからの帰り、鴨川のほとりを歩きながら 俺は後悔と虚しさとで胸を痛めていた。 この気持ちを誰かに伝えたい吐き出したい という強烈な衝動に駆られたのを覚えている。 以前、村上龍がどこかで、 小説とは言葉を失わせるような圧倒的なものに対し その翻訳を試みることなんだ、 ってなことを書いていたのを思い出した。 俺にとって初ソープ体験は、言葉を失わせるくらい 衝撃だったのだ。
ともかく俺は反省した。 やはりもっと愛撫するべきだったのだ。 受け身じゃダメだ!攻めなくては!
次の日俺は再び雄琴にいた。 再挑戦である。 今回はマットはなしにして、 シャワーを浴びてすぐにベッドにしてもらった。 今度はゆっくりと俺の方から攻める。 とにかく、ゆっくりやさしく愛撫する。 すると女の子も感じてくれたし濡れてくれた。 それはサービスの中にも決してウソではないものを 感じさせるものだった。
それまで俺は、ソープで働く女性は みなセックスのプロだと思い込んでいた。 相手が何を望むのか敏感に察し、 客を甘えさせ楽しませ愛撫し興奮させ、 客からの愛撫を誘って自らを濡らし、 "本気"を感じさせるセックスをする。 真の本気ではもちろんないがしかしまったくの虚偽ではない、 そういう類の本気。 真実の部分を膨らませた本気。 客をうまく誘い、波長を合わせることでこの"本気" を造り出すことが出来るのがセックスのプロではないか。 俺はソープで働く女性はみなそうなのだと思い込んでいた。
が、しかし実際はそうではないようだ。 むしろ楽しく遊ぶには女の子にばかりいろんなものを求めてはダメで、 客もよい客でなくてはならない。 良い客とは自ら積極的に楽しもうとする客。 自分の欲求が分かっており、「足りる」ということを知っている客。 女の子と楽しむにはむしろこっちの方が大切なのだろう。 そんなことを学んだソープ初体験だった。
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