(仮)日記
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2005年10月11日(火) 同じ月を見ている






窪塚洋介主演のあれです。復帰後第一作です。
試写会が当たったので観に行って来ました。

うーん、なんていうか……中途半端?
脚本が悪いのか、ミスキャストだったのか。全体的に中途半端な印象がつきまといましたね。だから窪塚の演技もなあ…。

鉄矢(窪塚)、ドン(エディソン=チャン)、エミ(黒木)の三人は幼馴染み。ドンは他人の頭の中が読めて、それを画に描いていたっていう。エミは心臓病ね。で、鉄矢は頭が良かったから医者になってエミの病気を治すために研修医なんだけど。
エミの家が山火事の被害にあって燃え、そのときに父親が焼死するのね。で、その火事の原因はドンが火をつけたからっていうことになってて、刑務所に入って七年後。突然ドンが刑務所を脱走するところから話は始まる。鉄矢とエミは恋人同士になっていて、ドンの脱獄の話を刑事から聞かされるんだけど。

初め、窪塚がドン役をやることになっていたらしいのね。呉川はそのまま窪塚はドンを演っていればよかったんじゃないかと思うんだよ。あれだよ、窪塚が演るならこの役でしょ、っていう役。結局、窪塚自身が鉄矢を演りたいと言ったから変更になったらしいんだけどさ。
この鉄矢がこれまた本当に魅力を感じない(窪塚言)男で。

多分ね、鉄矢はコンプレックスの塊な人だったんじゃないかと思う。ドンに対してね。
エミとドンと仲が良かったけど、鉄矢はエミが好きだったし、エミがドンのことを大切に思っているのもわかってたんだよね。エミがドンと付き合いたいとかそういう感情で想っていたわけじゃないのだろうと思うけど、あれは鉄矢でなくてもエミの気持ちを疑いたくなる。で、もともと鉄矢がドンに対して引け目を感じているから余計にドンを認められないんだろうなとは思ったんだけど。

ああ、エミが中途半端なのか。
鉄矢を選んだくせにドンのことを気に掛けすぎるから不安になったんだろうねえ。ドンが脱走する原因となったのがエミからの手紙なんだけど、そんなことを彼らが知るはずはなかった。
エミねえ……父親が焼け死んだのは、エミが部屋においてきたドンに貰った絵を取りに戻ると言ってきかないから代わりに父親が取りに行ったんだよ。それで逃げ遅れて焼け死んだというのは、つまりエミが父親の死の原因を作ったと思われるんだけどどうよ?エミと母親は怪我もなく無事なのさ。ということは、エミが絵のことを諦めていれば父親は家の中に戻らなかったから逃げ遅れることはなかったし、死ぬこともなかった。
けれど、エミはそのことに一言も触れないんだよ!劇中で。それってどうなの?せめて一言くらい、「私が絵を取りに戻ると言わなかったら」くらいあってもよかったんじゃないかと思うんだけど。それにも気付かず、エミは火事の原因を作り出したドンのことを人殺し呼ばわりするんだよね。
この脳内展開が私には納得がいかない。脚本を作る時点でこのことに引っ掛かりはひとつもなかったんだろうか。

そして、ドン。
ドンは台詞が全然ないの。まあそれは、中国の俳優さんだから日本語は少ない方がありがたいしね?
原作がどうなのかは知らないけど、あそこまで台詞がないというのは無口というにはちょっと無理がある。観ている限りでは、ドンは障害者なのかなと思うんだが。あれを思い出したね、山下清。知能障害持ちの画家。ドンも絵を描くしうまいし。でも知能が低いわけでもないようにも見えるんだよちゃんと。実は凄く頭がいいんじゃないかとか。でも行動は無鉄砲だからなんともいえない。己を律することの出来る人間だろうとは思う。

鉄矢のコンプレックス、エミの気持ちの行方、ドンの無口、が重なってお互いに何も確認しないまま時間だけが過ぎてしまった。みたいな話かなあ。いろいろと首を傾げたくなるところは多々あるんだけども。

山本太郎が凄いいい味出してました。ドンと仲良くなるちんぴら役なんですよ。なんてお似合いなんだろうか!(笑
岸田今日子も良かったです。日本画家役なんですよこの方。
ヒロイン黒木はね、動きがでかい。そう、黒木メイサは舞台女優なんでしょ?うん、舞台で演ってたらいいと思うよ。あの人は舞台映えのする役者なんじゃないのかな(と、フォロー)
エディソンはサミー=ナセリに似てると思った。TAXIの彼ね。

あ、映画の冒頭に心臓手術のシーンがあります。最後の方でもあるんだけど、えぐい映像、血がダメな方は目でも閉じておいてください。

そう、その心臓の移植手術。
ドンの心臓を少年に移植していたけれども、あれはドン自身が言い出したことなのか、それともドンに血縁者がいないことを知った医者がドンはもう助からない事実を利用したのか。どちらにしろ少年は助かるけれども、その少年自体、火事で煙吸って意識がなかったはず。そういう状況で心臓の移植なんてやっても大丈夫なのかどうか。エミは止めなかったのか。
この辺が気になったんですが。

そういえば、クライマックスの山火事。
町の消防隊員さんたちは、どう見ても一般人のエミと鉄矢を避難させるとか考えなかったんでしょうか。そういう場合じゃなかったともいうが、せめてエミはさ。女性は邪魔でしょ?離れてもらったら良かったんじゃないかなーと思ったんだけど。
ああ、ドア開けたときのあれはバックドラフトだよね。さすがに本職じゃないからすぐに開けちゃったんだろうけど、あれまずいですよー。ていうか、問題はその後に建物の中に入ったときに、バックドラフト起こってたわりに内部があまり焼けてないことですよ。建物内部の物も整然と並んでるんですよ。あれはまずいでしょ。外から見る炎ほどには内部が燃えてないんですよ。違和感ありまくりだっつーの。

違和感といえば、心臓病のエミ。がんがん走り捲ってたんですが何か?二度ほど手術して少しはよくなってるのかもしれないけど、完治はしていない上にマンション前でちょっと走っただけで具合悪くしてる場面があったんですが……そのあたりには触れない方がいいんだろうか(笑

結局エミの家が燃えたときの山火事の原因を作り出したのは鉄矢の方なんだが、それもエミと二人だけの秘密ですか。

ところどころ、音響効果とか音楽とか、物凄い仁義なき戦いだったんですがどうなんですか。監督は深作健太ですよ故深作欣二監督の息子ですよ。バトルロワイアル親子ですが、どちらかというとあれは仁義の方だったと思う。
仁義ってた!仁義ってたよ!(特に山本太郎扮するちんぴらが堅気に戻った後に若い衆に襲われて血みどろになってるあたりが)

上映後に舞台挨拶があったんですが、深作監督は結構小さい方でした。
黒木メイサは美人でした。
窪塚洋介はかっこよかった。立ち姿がなんだか窪塚。面倒臭そうな印象だった。演技してないときはあんなもんなんじゃないのかなあの人(勝手な想像)
右端の席にいたけど、前から五列目だったので結構大きいサイズで見られました。


結論。
窪塚の次回作に期待。





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