加藤のメモ的日記
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2023年08月06日(日) 妻の死後認知症になったら

妻の死後、認知症になったらどうなるか、きちんとイメージできていますか。

3か月ぶりに北海道にある実家に帰った時のこと、一人暮らしの父(87歳)の異変に気付きました。ハンガーにかけてある服を、なぜかもう一度洗濯機に入れていたのです。「まだ着ていない服でしょう」と指摘すると、「そうかい」と返ってきたのですが、その声にも元気がない。夜、電気をつけて寝るようになったりと、何かが変なのです。

埼玉県に住む青木哲也さん(60歳・仮名)は薄々感づいていた。ついに、父親の認知症が始まったのだ。2020年の統計によれば、全国で65歳以上の認知症患者は、約602万人なんと6人に一人が認知症になっている。夫婦2人のうちは元気だった人も、妻を、夫を亡くし、孤独な生活を送ると認知症になっていた。

夫婦二人のうちは元気だった人も、妻を、夫を亡くし、孤独な生活を送ると認知症になってしまう可能性が高い。そのとき何が起こるかを知っておかなければ「暗い孤独死」に陥る危険性がある。


認知症の特徴は、加齢による「物忘れ」とは全く違う。「異変」が起きることだ。「朝食を食べたこと自体を忘れる」「失くしたものを誰かに取られたと思い込む」「食器を良く割るようになる」など、少しづつ生活に支障をきたす出来事が増えていく。では少しでも思い当たる節があったら、一人暮らしを諦めるべきなのか。

そんなことはない。星稜大学特任教授の山口博氏は語る。「躊躇せず、,まずは介護サービスの助けを借りればいいのです。買い物、調理、ゴミ出し、洗濯などは訪問介護を頼り、週1〜2回デイサービスに通って入浴や体操をする。そうした中でケアマネージャーやヘルパー、訪問介護士とのつながりを持っておけば、認知症が進行しても孤立せずに済みます」

だが、認知症で一人暮らしを続けることに限界があるのも事実だ。介護サービスがあるといっても。46時中、人が一緒にいてくれるわけではないからだ。ホームオン・クリニックつくばの院長・平野邦夫氏は語る。「薬の管理が難しく一度に何錠も飲んでしまう場合や、火の不始末でボヤを起こした場合などは、在宅療養を続けるのが危険だと判断します。これからの時期はエアコンをうまく使えず、熱中症で倒れる人もいる。深夜によその家のベルを鳴らすなど、奇行や徘徊が出始め、警察にお世話になった場合も、一人暮らしは難しいと言わざるを得ません。

金銭管理の問題にもぶち当たる。認知症が軽度のうちは社会福祉協議会の日常生活自立支援事業を利用できる。1回1.000円程で預貯金の払い戻し、預入を代行してもらえるのだ。とはいえ認知症が進行すると口座が凍結され、成年後見人を付けるしかなくなる。事前に銀行で家族などを代理人として指名した置けば、凍結後の出金ができる場合もあるので、検討しておこう。

この段階になれば、グループホームへの入居も必要だ。この時、子供を頼れればいいが、それが難しければ、これまでに関わってきたケアマネージャーや医者の助けを借りるしかない。常に最悪を想定し、最後に頼れるつながりを作っておこう。


『週刊現代』7.10


加藤  |MAIL