加藤のメモ的日記
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2023年07月26日(水) この国を強くするには賃金アップしかない

今年6月にシンガポールで開催された「アジア安全保障会議」では私が議長を務め、岸田総理には基調講演をしてもらいました。シンガポールのサリー・シェロン首相や、ロイドオースチン米国防長官、さらに各国の「平和のための岸田ビジョン」を語っていただきましたが、岸田総理の存在は、国際舞台ではまだまだ知られていないという印象を受けました。8年という長きにわたり政権を担った安倍元総理と比べれば、岸田氏の「有名人」への道のりは遠いでしょう。

しかし国際情勢が不安定化する今、岸田氏には時間をかけて存在感を高めていく余裕は残されていません。周語句や北朝鮮、ロシアに対抗するために防衛費を増やすことはもちろんですが、それ以上に重要なのが「経済成長」です。なぜなら継続的に経済が拡大していかない限り、税収は増えず肝心の防衛費を賄うこともできないからです。

岸田総理もそのことを十分にわかっているはず。にもかかわらず「新しい資本主義」と口先で言うだけで、経済再生のために絶対必要なことに手を付けていません。

賃金アップです

日本はこの30年、賃金はほとんど上げない戦略をとってきました。従業員の賃金を抑えることで商品の値段を下げ中国や韓国などアジアの国々との価格競争を戦ってきました。一つの会社単位でみれば理に適う判断ですが、経済全体の成長を考えるとこの戦略には大きな問題があります。

「アメリカの工業史で有名な、フォードの逸話をご存じでしょうか。1914年自動車会社を経営するヘンリー・フォードは、自社工場の従業員がフォードの車を買えるよう賃金を当時の平均の倍に上げました。実は「従業員の離職を防ぎたい」という目的もあったのですが、結果的に車が売れるようになり、フォードの業績は拡大しました。

日本も同じことをやるべきでしょう。現在の日本では賃上げがないまま物価が上がり続けており家計の消費はしぼんでいく一方です。こんな時こそ賃上げが必要なのですが、岸田総理は具体的にどう賃金を上げていくかを明示できていません。


『週刊現代』11.12   41P


加藤  |MAIL