加藤のメモ的日記
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2018年05月13日(日) 物忘れと記憶力のすべて ��

じつは「適度に忘れること」は、幸せなのかもしれない

物忘れや記憶力低下を防止するためのトレーニングは重要だ。しかし、「忘れること」を極度に怖れる必要はない。過去の過ち、辛い思い出…そういったものを忘れていけるからこそ、人間は前向きに生きていけるという側面もある。「忘れる幸せ」という考え方が、老後を楽にしてくれるかもしてない。

「忘れることは、脳の重要な役割の一つでもある」と語るのは、前出・真鍋医師だ。「人間は、脳に入ってきた情報のうち2割しか覚えていられないと言われています。しかし『忘れること』の存在意義は、記憶が多すぎると脳がパンクするからではありません。もし脳が記憶を忘れない場合、不愉快な記憶がいつまでも意識に残り、精神的・肉体的ストレスを感じることになります。すると、うつ病などの精神疾患を発病したり、ストレスを受けると分泌されるホルモン『コルチゾール』によって、心筋梗塞や脳梗塞、認知症などを発病することにつながる。『忘れること』には、人間の心と体を守る役割があるのです」

”物忘れの先輩”の声は明るい。御年90歳。かって『全国子供電話相談』で回答者を務めた僧侶の無著正教氏は、「最近は忘れてばかりですよ」と語る。「いざ食事をしようと思ってたら入れ歯をしてなかったり、自分の電話番号を忘れたり、そんなことは日常茶飯事です。でも忘れることは利点もある。例えば、本の間に挟んでいた1万円札のことをわすれていて、久しぶりにその本を読んだときそれが見つかったら、儲かった気がして嬉しいでしょう。

辛いことを忘れられるというのも、気楽でいいものです。私なんて、病気してることすら忘れてしまうことがありますからね。すると不思議と元気が出るもんなんですよ」旭日中綬章(じゅしょう)を受賞したほか、25年間にわたり芥川賞の選考委員も務めた84歳の作家・黒井千治氏は「年を重ねると、取るに取らない情報を忘れられる。気取った言い方をすれば、”物忘れは神様からのプレゼント”かもしれないね」と話す。

「重要だと思わないことはどんどん忘れてしまいます。だから私の記憶には、生きるために必要な大事なものだけが残っている。過去に大喧嘩した相手のことは忘れませんけどね。きっと忘れちゃいけない、大事な記憶なのでしょう」『不幸な認知症 幸せな認知症』の著者で東京医療学院大学教授の上田医師はこう語る。「これまで物忘れに悩む人と多く接しましたが、実は本人は物忘れをそれほど苦にしていません。むしろ辛いのは『また同じことを言っている』『なんでこんなことができないの』という家族からの声だと訴えてくることが多い。

ある家庭では、認知症の母親に向かって娘が毎朝、『今日は何月何日か言ってみて』と質問していました。母親が答えられずもじもじしていると、娘は『今日は〇月〇日でしょう!』という。こんなことをされると誰で心が沈みます」物忘れは誰でも起こる。大切なのは、本人と周りの人々が、それにどう対処するかなのだ。


『週刊ポスト」』5.5


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