加藤のメモ的日記
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2017年05月22日(月) 病気は早く見つけるほど早く死ぬ ��

興味深いデータがある。1980年代以降、アメリカではPSA検査が急速に普及し、前立腺がんの発見率が3倍になった。一方、イギリスではPSAは普及していないため、発見数はそれほど増えていない。それでも前立腺肥大の手術の増加によって、がんの発見数は少し増えている。これだけ見ると、アメリカでは前立腺がんを早い段階でたくさん発見することができ、その死亡率は大幅に下がったはずだろうと考えたくなる。しかし、現実は違った。

アメリカでもイギリスでも前立腺がんで亡くなる人の割合はほとんど横ばい、むしろ微増だったのだ。これは過剰診断がかえって早い死を招いていることの証左だろう。「PSA検査は1000人に1人ぐらいの割合で前立腺がんの患者を死から救うことができます。しかし、同時に他の多くの患者が不必要な手術を受けることになり、中には死に至る場合もある。たとえ、手術で死ななくても、男性機能を失ってしまう恐れもあります」(前出のウェルチ氏)

がん探しが寿命を縮める

PSA検査で腫瘍マーカーが上がっていれば、通常、前立腺に12本の針を刺して組織を採取する「前立腺生研」を行う。医療コンサルタントの吉川氏が語る。「がんであるかどうかは、病理医が判断するんですが、病理医は全国に2362人しかいません。東京には420人いるのですが、地方に行けば非常に少ない。例えば福井県には12人しかいません。通常、複数の病理医がチェックして生検の判断をします。しかし、これだけ人材不足になると、一人の医者が診ることになり、がんなのにがんではないと判断したり、その逆であったり、ミスを犯す可能性が高まります」

せっかく検診を受けても、病院の体制が未整備だったり人材不足だったりすると、信じられないようなミス起こりうるのだ。日本でもアメリカと同様に前立腺がんの発見数は大幅に増えている。だがやはり、がんの早期発見は死亡率の低下につながっていない。それどころか、高齢者の前立腺がんの死亡数は増加している。「死亡数が増えた原因は手術と抗がん剤でしょう。50歳を超えると体力的に、治療に耐えられなくなる人が増えるのです。そもそも前立腺は骨盤の奥にあり、膀胱や直腸が接しているため、手術が難しい場所なのです」(前出の近藤氏)

年を取れば、誰でも体にガタが来るもの。命に別状のない異常まで治療しようとして、かえって寿命を縮めてしまってはたまらない。いしゃのいいなり「がん探し」に躍起にあんるのは、もうやめた方がいい。


『週刊現代』3.11


加藤  |MAIL