加藤のメモ的日記
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2017年03月20日(月) 田中角栄元首相 脳梗塞で緊急入院

長期療養生活へ

昨年最も売れた本は石原慎太郎の『天才』だ。なんと92万部という。慎太郎が田中角栄になりきって語った霊言小説として話題を呼んだ。同署の大ヒットのおかげか、書店には田中角栄関連本のコーナーが設けられ、ずらりと並んでいる。時ならぬ角栄ブームともなった。角栄は1993年末に75歳で亡くなっている。死後23年を経て、いまだこれほどの人気とはどういうことだろう?

角栄は新潟の寒村に生まれた。高等小学校卒の土建屋から総理大臣にまで上りつめ、今太閤と呼ばれた。日本列島改造論ををぶち上げ、日中国交回復を実現した。浪花節をうなり、目白の豪邸には、巨額の錦鯉を泳がせた。金脈問題から総理の座から転落、ロッキード事件で逮捕され、有罪判決も受けた。なんとまあ上昇下降の激しいジェットコースター人生。現在のトランプ大統領がハチャメチャなまでに面白いように。


田中角栄を金券問題で追い込んだ立花隆の著作に『政治の情念』がある。「権力・カネ・女」の副題で、角栄を情念の観点から斬った本だ。これがまためっぽう面白い。カネを配りまくって、自民党を支配し、権力の頂点に立つ。総理の座から転落しても、キングメーカーとして闇将軍の異名をとる。完全に失墜するのは、脳梗塞で倒れた時だ。1985年2月27日のこと。実はその20日前に竹下登らが創生会を設立。

部下と思っていた連中の裏切りに遭い、角栄は浴びるように一日にボトル1本とも酒を飲み続けたという。いわば自滅するようにして倒れたのだ。娘・真紀子は「父親を殺した連中への強い憎しみ」を持つと立花隆は記す。なんという情念の劇だろう。二世、三世ののっぺりとした薄味の政治家ばかりが目立つ現在、こんな情念の人・田中角栄に対するニッポン国民の強い待望があるのかもしれない。来年は田名角栄の生誕100年だ。角栄が存命なら、トランプ大統領についてどう言っていただろう?苦言を呈したか?はたまた100歳の角栄サンは「よっしゅ、よっしゃ」と肯定しただろうか?


『週刊現代』3.11


加藤  |MAIL