加藤のメモ的日記
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2017年01月03日(火) イスラム国

イスラム国というのは、イスラム教スンニ派過激組織がイラク北部のモスルという地域を制圧後、2014年6月にイラクとシリアの国境地帯に勝手に国家の樹立を宣言した。これがイスラム国である。最高指導者はアブ・バルク・バグダディー(イラク人)この組織のことをISISとも言われている。組織の人数は正確にはわからないものの一部報道では5万人以上(2014/09)。彼らの目的は、カリフ制国家の建設である。カリフとは、イスラム教の開祖である預言者ムハンマドの後継者のこと。ムハンマドが亡くなった632年〜661年の間は、選挙でカリフが選ばれることになる。しかし、4代目のカリフであったアリーが暗殺された後はイスラムが分裂していくことになる。


4代目のカリフのアリー血統を重視する人々のことをシーア派という。一方、スンニ派とは代々のカリフをムハンマドの後継者として認める人々のことをいう。現在ではイスラム教徒の9割がこのスンニ派だといわれており、イスラム国の過激組織もスンニ派である。彼らはかってのイスラムの最高指導者であるカリフに導かれた理想国家を建設しようとしているのである。だからバグダディーは1924年から空位であったカリフの座を自ら名乗ったりしている。とはいえ、このイスラム国というのは、国際社会から見るとかなり危険。この集団にはいろいろな国の人たちが集まってしまっている。ヨーロッパ、アジア、東南アジア…。日本人は確認されていないようである。

しかも、イスラム国に賛同している彼らの顔や名前はわからない。つまり、彼らが私服に着替えて母国に帰ってきても一般人と見分けがつかない。そんな状態で母国でテロでも起こされたら…。

また、イスラム国は外国人を拉致し殺害するという恐ろしい映像をネットを通じて世界中に配信している。これを見た人々はイスラム国に対して脅威を抱く。彼らの狙いはそれ。世界中に自分たちの恐ろしさを伝え、戦わずに勝つ!という作戦なのである。身代金をもらえれば一番都合がいいわけであるが、貰えなくても自分たちの脅威を知らしめることができる。金もたくさん持っている。身代金で得た金や密輸で。企業を脅したりして資金源を稼いでいるのである。この集団では給料もちゃんと出る。しかも、かなり高額な給料。これは人材の確保に有利に働く。

しかし、このイスラム国はなぜ、急に大きな勢力へとなってしまったのか。2003年にはアメリカがバグダッドに侵攻しフセインを逮捕した。そのままアメリカ軍はイラク国内に滞在し続けた。その頃、イスラム国の起源となる集団がイラクでのアルカイダとして勢力を伸ばしてきたといわれている。とはいえ、世界最強といわれるアメリカ軍が滞在しているので好き勝手にはできない。しかし、2011年になるとイラク国内はもとよりアメリカ国内や世界からも「いつまでアメリカはイラクに軍を置いておくんだ?」という批判が強くなり、アメリカ軍はイラク方撤退する。ちょうどその頃、イラクのお隣、シリアが大変なことに。

テロ組織イスラム国もシリアでの内戦に参戦。シリアのラッカという町に腰を落ち着かせる。この場所は石油が出るので密輸して経済力をつけていく。しかし、シリアにはもともとヌスラ戦線という、こちらもアルカイダの勢力がいる。彼らはイスラム国を快く思わなかった。「あれ?お前らイラクにいるはずじゃないの?なんでシリアに来てんのよ」ってことでイスラム国はアルカイダと袂を分かつことになる。

とはいえ、十分に力をつけたイスラム国。「そろそろイラクに戻ろうか」とイラクに戻ってくる。イラクの政権はシーア派のマリキ政権。対するイスラム国はスンニ派。イラク国内にもシーア派のマリキ政権を面白く思わないスンニ派の人たちが多くいる。彼らはマリキ政権打倒のためにイスラム国に賛同するようになる。そうして、イスラム国は勢力を拡大していった。このイスラム国に対して周辺国家のみならず、世界は危機感を抱き強い姿勢を示そうとしている。ただ、このイスラム国を根絶やしにしたところで根本的おな解決とはならず、また第二、第三とさらに過激化した組織が現れないとも限らない。



『週刊朝日』


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