加藤のメモ的日記
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2014年11月26日(水) 老後破産 ��

普通のサラリーマンだった私は、定年から10年で破産した

妻の病気をきっかけに

「なんでこんな辛い思いをしてまで、長生きしなきゃいけないんでしょうか」着古したジャージに身を包んだ香川庄司さん(仮名/71歳)は、掠れた声を絞り出し、こうつぶやく。6年前に妻を亡くしてから神奈川県の自宅で一人亡霊のような日々を送っているという。

「家事は妻に任せきりにしていましたから、彼女が亡くなってからも自分で炊事することはありません。食事は日に一食。夜にスーパーで半額になる弁当を買うか、チェーン店の牛丼を食べに行くのが日課です。近所付き合いもないですし、毎日することは何もない。家に閉じこもり、テレビを眺めて一日が過ぎていきます。こんな惨めな生活をしているなんて、誰にも言えません。親戚にだって、無用な心配をかけたくないので連絡を取らなくなりました」大学を出て食品メーカーに38年間勤務し、60歳で退職。一人息子は同居している。定年後は妻と穏やかな老後を送ろう―そう思っていた。当時の貯金は退職金もあわせて約3200万円。だが、現在、貯金は底をついている。「

定年してから半年後、妻に乳ガンが見つかったんです。進行した乳ガンでした。手術しましたが、すでに全身に転移してしまっていた。現役時代、私は家庭を顧みずすべて妻に任せて働いていました。これからは妻を楽にさせてあげようと思っていたんです。だからこそ、何をしてでも元気になってほしかった。病院を転々と転々とし、最新の放射線治療も受けました。それに漢方や健康食品など、体にいいと聞いたものは何でも試した。

彼女が自力で歩けなくなってからは、300万円出して車いすを乗せられるワゴン車を買い、ガンに聞くと言われる温泉にも連れて行った。けれど結局、闘病の末に亡くなったんです」妻の命のために、カネを惜しむという選択肢はなかった。ガン保険に入っていなかったため、3000万円という貯金額は、6年間でみるみるうちに目減りしていた。気づいた時には、もう手遅れ。現在は月14万円の年金だけで生活している。

「妻はウチにには、40代になる息子がいて、うつ病を患って会社を辞めてから、家に引きこもっているんです。私の年金だけでは暮らしていけない。少々具合が悪くても病院にも行けません。絶対悪い病気が見つかるに決まっていますから。毎日、目が覚めるたびに気が重くなります。何度も死のうと思いましたが、息子がいますし、天国の妻がそれを知ったら悲しむだろうなと思って、必死で生きている状態です」

悠々自適な老後を送れるはずだったのに、気がつけば想像だにしない厳しい現実と向き合わざるを得ない。香川さんのように破産状態に陥る高齢者が急増している。9月28日に放映されたNHKスペシャル『老人漂流社会 老後破産の現実』では、「生活保護水準以下の収入しかないにもかかわらず、生活保護を受けていない」破産状態にある高齢者の現状を「老後破産」と呼び、特集を組んだ。番組を制作した板垣淑子プロデューサーが語る。

「少子高齢化が進み、年金給付水準を引き下げざるを得ない一方、医療や介護の負担は重くなっています。自分の年金だけを頼りに暮らしている一人暮らしの高齢者の中には、崖っぷちでとどまっていた人達が崖から転げ落ちてしまう、いわば『老後破産』ともいえる深刻な状況が広がっています」

いったい破産世帯はどれぐらい存在するのか。河合勝義明治学院大学教授が語る。「私たちが実施した東京都港区と山形県における調査では、生活保護基準よりも低年収である高齢世帯の割合がどちらも56%と。高齢世帯のほぼ半数にのぼることが分かっています。現在、一人暮らしの高齢世帯はおよそ600万人。推定で300万人が低年収世帯といってよいでしょう」そこから、生活保護を受給している高齢世帯を差し引いた、200万以上もの人々が老後破産の状態にあると推定される。日本全国で65歳以上の高齢者の数は3200万人。およそ16人に1人が老後破産の状態にあり、独居高齢者に限れば3人に1人にも上がる。



『週刊現代』10.11


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