加藤のメモ的日記
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| 2014年04月15日(火) |
知的粗食の健康法 �� |
食物繊維の超重要性
文明国の食生活に見られる繊維不足。これを医学的見地から問題にして警告を発した最初の人は、イギリスのウォーカー博士とクリーブ博士だったといわれます。いずれも第2次世界大戦の前あたりから、食物繊維の多いアフリカの食生活に注目し、西欧諸国のそれと対比して問題性を追求しています。そしてそれが契機となって、世界各国の学者がせんいについての研究を始めるようになったのですが、私自身もそれに啓発されて、食物せんいとコレステロールの関係をテーマとして論文を発表しましたが、それはアメリカ上院でせんい不足の問題がとりあげられる10年も前のことでした。
アメリカ上院といえば、そこでせんい不足が論議されるにいたったきっかけとしては、バーキット博士の研究が大いに力になっていたといわれます。博士は20年間にわたってアフリカで医療活動に従事し、その地方独特の悪性腫瘍を発見し、これが”バーキット腫瘍”と名付けられたこともあって、世界的に知られイギリスの医学教会からゴールドメダルを授けられています。そして、食物繊維に関しては、アフリカと西欧だけの比較にとどまらず、日本をはじめアジアの国々の食生活にも注目し、世界的視野に立って食生活と文明病の関係を調査研究しました。
現代病は、炭水化物からせんいを取り除いたために起る
『私は1966年までアフリカで医療活動をしてきました。その後、イギリスに帰ったのですが、アフリカにいる間は食物繊維については何も知りませんでした。そのときはガンの地理的分布について研究していたのです。帰国後、イギリスやアメリカのいろいろな病院を訪ねのですが、病院のベッドのほとんどがアフリカではまったく稀な病気の患者によって占められていることに気がついたのです。その理由がなんであるかはまだわからなかったのですが、クリープ博士にお会いして、初めてその理由についての糸口が開けました。そのとき、クリーブ博士は、いま西欧諸国において共通して起っている病気は、炭水化物からせんいを取り除いてしまったことに原因している、ということをいったのです。
私もこのことは真実だと思いました。なぜなら、私はアフリカにおける疾病のパターンについて知っていましたし、クリーブ博士の仮説を実際にテストしてみる機会にも恵まれていたからです。つまり、一ヶ月ごとにアフリカの140にわたる病院にいろんなアンケートを出して、その回答を毎月受け取っていたのです。私は病院の医師あてのアンケートのなかで、「こういった病気をあなた方は見たことがあるか」という質問をしたのです。その病気というのは、例えば静脈瘤とか糖尿病。冠状動脈性の心臓病、それから胆石、大腸ガン、血栓症などです。
これらの病気については、私自身、当時は少なくとも年に2回は長期出張をしていたので、世界的パターンがどうなっているかということは聞く機会がありました。そこで確認できたことは、いま申し上げた病気というのは西欧文明、つまり近代文明の非常に特徴的な病気であるということ。 つまり、そういう病気は原始社会においては非常に稀であって、この原始社会がだんだん西欧化されると増えるということがわかったのです。それからさらに文献などの調査によって、第1次世界大戦以前は西欧諸国においても、これらの病気はそれほど多くはなかったということがわかりました。
いまではアメリカの黒人でも白人と同じぐらい、こういった病気の発病率が高いということがわかっています。これらのことから、遺伝的な要因というよりは生活様式が主な要因であるということがわかりました。その結果として、それらの病気は予防することができるのだということを確信したのです。
食物繊維はウンコを増やして悪いものをどんどん追い出す
大腸ガンは胃ガンと同様、非常に治りいいガンがといわれていますが、、それでも全治率はおよそ5割、大腸ガンにかかった人は半数が死んでいるのです。かりに生き延びたとしても、人工肛門を脇腹につけて、便の垂れ流しを続ける生活は、やはり悲劇的な人生といわねばなりません。この悲劇を自然の摂理によって、未然に防いでいたのが食物繊維だったのです。食物繊維が直接ガン細胞を殺したりするようなことは考えられませんが、腸内の有害物質を吸着する作用があるため、これが腸内の発ガン物質を吸着し、排泄してしまう可能性も考えられます。しかし、それよりも確実にいえるのは、食物繊維が便の量を増やし、それが腸の動きを活発にするために、発ガン物質が活性化する余裕を与えず、どんどん外に押し出してしまうという効果です。仕組みがあまり簡単なために、この警告は長い間無視され、嘲笑さえ受けてきましたがいまでは食物繊維が大腸ガンの予防に有効だということは、消化器ガンの専門のほとんどが認めるところとなっています。
コンニャクやコンブがネズミの肝臓ガンに大きな効果
食物繊維は大腸ガンだけでなく、肝臓ガンも予防するのではないだろうか。この課題と取り組んで、1年がかりの実験が行なわれました。理化学研究所における光岡教授(東大農学部教授)らのグループによる実験で、使われた食物繊維は粘質多糖類の一つで、美容食としておなじみのコンニャクマンナンでした。たくさんの肝臓ガンを起こしやすいマウスを1年の間、普通のエサで飼育したところ、60%ものマウスに肝臓ガンが発生したしたのですが、一方のグループにはエサのなかに5%ものほんのわずかのコンニャクマンナンを混入しておいた結果、同じ期間に肝臓ガン発生した率は、30%にとどまっていたというのです。つまり、コンニャクマンナンをエサの中に少量混入することによって、肝臓ガンの発生は半減したということなのです。その学問的理由は軽々しく断定はできませんが、食物繊維が腸内細菌に対して、いい影響を与えたことは確かです。
また、北里大学の山本教授は、まったく違った観点からコンブの制ガン作用実験によって確認されています。教授は、中国で昔からコンブがガンの治療薬として用いられていたという記録があるので、それをヒントにしたといっておられますが、実験に使用したのはコンブから抽出したもので、多糖類を主成分としたエキス、つまり水に溶けた食物繊維です。実験はまずハツカネズミの背中の皮下に、サルコーマ180と呼ばれるネズミのガン細胞を注射によって移植し、その上で翌日からコンブのエキスを与え、一ヶ月あまりの経過を見たところ、非常によい成績が上がったそうです。
コンブというのは産地が広く分布し、さまざまな種類があるそうですが、三石コンブと長コンブのエキスには、およそ90%前後の率で、ガンの発育を抑える働きがあると発表しておられます。なお、実験の順序を逆にして、先にエキスを注射しておき、あとからガン細胞の移植を行なった結果でも、ガンの発育はおよそ80%は抑えられたそうです。こうした実験の一端を捉えて、食物繊維がガンの妙薬であるような言い方をするのは、厳に慎まなければいけないことだと思いますが、現代人が忘れている食物繊維の大切さを認識させるためには、非常に価値のある学問的成果であるといってもいいでしょう。
『知的粗食の健康法』 辻 啓介
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