加藤のメモ的日記
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2013年07月21日(日) 植物と話がしたい ��

御神木の発信電波 

京都市のいくつかの神社が世界遺産に登録され、それを記念するコンサートが開かれることになった。市とNHKの要請で登録された神社の御神木の発信電波を取り込んで、京都市交響楽団と共演する交響詩の作曲を委嘱された。三輪教授はちょうど群生樹木全体から電位を取り込む研究をされていたので、御神木を中心とした周辺樹木にも興味があるということで、調査班を組んで京都に行くことにした。

上賀茂神社の御神木はブナ科のスダジイという樹齢400〜500年という大樹であったが、あまり元気がなく弱々しい。しかし他の条件には適していたので、御神木と周辺の樹木から取り込むことに決定した。御神木の上部にある枝を二本選び。それぞれの枝から4枚ずつの葉を選定して8ヶ所に電極を取り付けることにした。それ以外に御神木の根に2カ所と枝の付け根に2ヶ所、合計12ヶ所を決定した。

この電極を設置するために御神木の片側に6メートル程度の鉄パイプの櫓(やぐら)を組まねばならず、翌日早朝から櫓組の作業を開始した。計測を始めてみると御神木の電位は低く、ブナ科独特の波状は変わりないが、月山の天然ブナなどに比べるとあまり元気がない。真夏の暑さの中、6日間かけて取り組みを行なったが、どの日も御神木に関しては同じ結果であった。御神木以外にも周辺の60本程度の樹木を選び出し、御神木をとりまく環境の計測を24時間連続で取り組み、上賀茂神社御神木の計測実験は終了した。

[後日談 その1]

上賀茂神社の御神木は元気がなく、老樹という感じの発信電波であった。三輪教授は周辺の樹木を60本選び、それらの発信電波も同時に取り込み、周辺との関連を丹念に調べていた。その結果、現在の御神木は周辺にある樹木の主導者ではなく、20メートル程度離れたところにある樹齢50〜60年程度の若い木に主導権を奪われていた。御神木と呼ばれるものは、根を下ろした場所の地質とか水利などがよい所で、場所によっては特殊な鉱物などが下にあったりして植物の成長環境がよく、長く生きてきたと考えることができる。

上賀茂神社の御神木の場合には、地質や日射条件は最良だが、周辺を流れる小さな川の流れを人為的に変えたことが元気のない原因ではないかと思われる。川の流れを変えたのは明治かそれ以前かもしれないが、御神木の樹齢から見れば最近の出来事となってしまう。結果として何十年かの間に地下水の流れに変化が生じ、大量に水を吸い上げるブナ科であるから、水利が有利な方に位置した若い樹木に主導権を握られてしまったのであろう。

周辺樹木の発信電波を見ると、御神木と同調した波を出している樹木は一本も存在していない。逆にほとんどの木は若い新勢力の木に同調した波を出している。雑木林はグループをつくる傾向がある。グループをつくるというのは、同じような波状を常時出す樹木の群が、いくつかに分かれて集団をなしているということである。上賀茂神社の御神木の場合には、周辺の樹木の中に同調するものがなく、たぶん疎外されている状態だからいずれ枯れてしまうだろうということで三輪教授と意見が一致した。おそらく80年から100年程度先のことだろうから神官もこの世にいないだろうし、報告しても信じないだろうから黙っているのが最も平和的な方策だと思ったからである。

雑木林に限らず樹木が集団で林や森を形成すると、樹木の種類に関係なくいくつかのグループを形成する。これは根の世界とは関係なく空間で繋がっているらしく、隣の木でも違うグループに所属している場合も多い。このいくつかのグループのどこにも所属していない樹木は育ちが悪く、人間的な表現を借りれば村8分にあって枯らされる運命にあるような気がする。

約150本程度の樹木林を集団計測すると、、3グループ程度に分かれ、木の種類によっては同じグループになる場合もある。必ずしも同種類同士が集まってグループを形成しているとは限らない。子の波状は数日間続けて計測しても変わることはないが、樹木を伐採して樹林構成が変化すると、グループの所属に変化が起こることもある。なぜグループ化する必要があるのかはわからないが、情報交換が生存競争に関係あるのではないだろうか。



『植物と話がしたい』 


加藤  |MAIL