加藤のメモ的日記
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後継者・正恩に不満を抱く軍部が、ついにクーデターを決意する。危機を察知した金正日総書記は、ある取引によって中国に支援を要請。金正日・正恩親子と軍部の争いは最終局面を迎えた。
狙われたロシア行きの列車
”金王朝”の後継者をめぐる北朝鮮の権力闘争が、ついに一銭を超えた。 去る6月30日、ロシア極東連邦管区のイシャエフ大統領全権代表は、かねてから噂されていた金正日総書記のウラジオストック訪問が突然中止になったことを発表した。「金総書記は京やってきて、メドベージェフ大統領と会談するはずだった。どうして来なかったかは、わからない」イシャエフ代表はそういって現地の記者団に困惑の表情を見せたという。
金総書記は、‘02年8月にウラジオストックでプーチン大統領(当時)と会談しいて以来、ロシアを訪問していない。今回の訪ロは実現していれば9年ぶりということもあり、周辺国からも高い関心が寄せられていた。北朝鮮にとっても訪ロは極めて重大な意味を持つはずだった。元韓国国防省分析官の高永吉・拓殖大学研究員はその狙いをこう分析する。
「おそらく、金総書記はメドベージェフ大統領に武器供与など、何らかの軍事的援助を求めるつもりだったのでしょう。というのも、金総書記は昨年3月の韓国哨戒艦『天安』撃沈事件や、11月の”ヨンピョン島砲撃事件”の報復攻撃を米韓が仕掛けてくることを恐れているからです。実際、先の中国訪問では、胡錦涛・国家主席に中国製最新鋭戦闘機30機の提供を求めたのですが断られてしまった。そこで仕方なく、総書記は古くから軍事交流のあるロシアに助けを求めたかったのでしょう
それほど重要なロシア訪問を”ドタキャン”したことkら、各国のメディアでは金総書記の健康状態悪化を指摘する声が上がっている。だが、北朝鮮事情に詳しい公安関係者は健康悪化説を一蹴する。「7月上旬の労働新聞には、芸術公演に出かけた際の金総書記の写真が大きく掲載されていたが、顔色はすこぶる良かった。また金総書記は‘8年に脳卒中で倒れて以来、タバコをやめていたのだが、最近は再び吸い始めたとの情報もある。今のところ、健康に問題があるとは考えにくい」
体調不良が原因でないとすれば、大国であるロシア大統領との会談をそでにした理由とはなにか。各国の北朝鮮担当者が首を捻るなか、北朝鮮を担当する中国政府の外交関係者が、本誌に真相を明かした。「確かに、金総書記は、いま、周辺に訪ロの並々ならぬ意欲を持っていた。しかし、出発直前になって、北朝鮮国内で金正日・正恩親子を狙うクーデターが勃発する恐れがあるとの情報が飛び込んだため、やむなくキャンセルしたと聞いている。
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この外交関係者によれば、クーデターの首謀者は北朝鮮軍部で絶大な権力を持つ金永春・国防委員会副委員長兼人民武力部長だという。金永春部長は総書記就任以前から”忠臣”として金正日をサポートしてきた人物である。『先軍政治』(全てにおいて軍事を優先するという思想)を標榜する北朝鮮にあって、国権の最高機関とされる国防委員会の副委員長にまで上り詰めたのも、金総書記の篤い信頼があったからだ。
そうした人物が金総書記に牙を剥くとは信じ難い。だが、金永春部長は金総書記の後継者である三男の正恩・朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長に強い反発を抱いているという。「正恩は『改革開放・経済発展』路線を推し進めているが、もし改革が実現すると、これまで『先軍政治』によって支えられてきた軍の既得権益が失われてしまう。だから金永春は正恩の後継を絶対に認められない。そしてあくまでも正恩が改革路線を進め、金総書記がそれを黙認するのであれば、金親子から権力を簒奪することさえやむを得ないと考えている」(中国外交関係者)
確かに、ここ数年の北朝鮮では、金永春部長が正恩副委員長をけん制する動きが随所にみられる。例えば‘09年、正恩副委員長は経済改革の一環としてデノミネーションを断行したが、この政策を軍への挑戦とみなした金永春部長は翌年、デノミの表向きの責任者である朴南基・労働党計画財政部長を”公開銃殺刑”に処した。
昨年3月に正恩副委員長が外貨獲得のために国家開発銀行を発足させると、金永春部長はすかさず韓国哨戒艦『天安』を撃沈し、北朝鮮への投資ムードを潰してみせた。北朝鮮がいかに独裁国家といえども、すべてが金正日総書記の思いどおりにいくかといえばそうではない。水面下では、これまでは忠実な下僕として総書記に尽くしてきた部下と息子による、熾烈な権力闘争が繰り広げられているのだ。
前述のような金永春部長の謀反に対し、金親子も手をこまねいているわけではない・息子・正恩への権力移譲を速やかに進めるために、金総書記はある”秘策”に打って出た。5月20日から26日にかけて、金総書記は実に6000�劼發領鷦屬砲茲訥肯垢魘�行した。わずか1年間で3度目となるこの訪中における最大の眼目は、中国国境にある『黄金秤島』の鴨禄江の中州にある小島。明・清朝時代は中国に属していたが、第二次世界大戦後、北朝鮮が実効支配した。
開放経済を目指す金正恩副委員長は‘09年1月に、この黄金秤島を「経済特区」とし、自由貿易の島にしようとした。ところがこの時は金永春部長一派の横やりが入り、特区計画は一向に進まなかった。この妨害工作に業を煮やした金総書記は中国を訪ね、胡錦涛主席とのトップ会談に臨み、中朝共同での黄金秤島の経済特区化を話し合ったのである。
中国にしてみれば、開発利権をものにし、莫大な利益を得らえるおいしい話である。しかし金総書記とて、タダでこの島の利権を譲り渡すわけではない。実は胡錦涛主席との会談において、金正書記は黄金秤島の開発を付与する見返りに、中国が金親子を全面的にバックアップすること、そして金正恩副委員長がこの計画の主導者になることを了承させたのである。
………
人民解放軍という後ろ盾を得て強気になった金総書記は”天敵”となった金永春部長をパージしたというわけだ。そして金総書記から干されたことを悟った金永春部長は、ついにクーデターを決意した。これが、5月から6月にかけ、平壌の”奥の院”で繰り広げられた権力闘争の全貌である。「金永春は、ロシアを訪問する金総書記の列車を爆破するとともに、軍を動かし国内にいる正恩を暗殺するつもりだったといわれる。
一方、その計画を察知した金総書記は、あえて無人の専用列車を走らせ、もし爆破されればただちに金永春一派を一網打尽にするという作戦を練っていたという。実際、一部韓国メディアの報道によると、金総書記を乗せたとみられる特別列車は6月28日の時点で、中ロ国境付近に停止していたという。
中国のバックアップを得てもなお、金親子は金永春派の動きに細心の注意を払う必要がある。むしろ、後継をめぐる権力闘争がいよいよヤマ場を迎えつつあると見ているだろう。というのも、正恩副委員長が指揮する政策のほとんどが失敗続きで、永春派が「これが最後の好機」とばかりに、いつその隙を突いてくるとも知れないからだ。
『週刊現代』
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