加藤のメモ的日記
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「健康的な生活をしていれば、脳は常に変化しながら成長し続けます。最近では116歳で亡くなった女性の脳を解剖したところ、ほとんど衰えていなかったという報告もありました。『脳は機械のように使い古されることがない』。この解剖結果は、まさにこれを証明したわけです。脳というのもは、使うほどよい状態に変化していくというのです。
脳の中はいつもダイナミックに動いていて、昨日と今日どころではなく、数分たっただけでも神経回路のつながり方が変わっています。神経回路ができる時、ニューロンから伸びているシナプスが他のシナプスとつながり、シナプスがどんどん増えていくということではなく、むしろ逆に整理しながら減っていきます。それは不要なものだから削られているのです。
赤ちゃんがいつも手足をバタバタ動かし。あちこちぶつかりながらも、やがて目的の物に手がきちんと届くようになります。あれは一見無駄な動きをしながら必要な回路を見極め、ムダな回路を削り落していく行為です。こうして人は年を重ねて大人になるほど、正確に的確に行動できるようになる。それが脳の成熟の正体だと理解してもよいでしょう。「若い脳」と「成熟脳」の図を見るとよくわかります。
脳は体に命令を発し、脳が全体を支配しているのではなく、脳も体の一部、所詮体のしもべなのです。ということは、手足を動かしたり、姿勢を変えたり、体を動かすことで、脳も活動する仕組みになっているわけです。脳は頭蓋骨の中に入っていて、外部とつながる体や五感を通してでなければ何も刺激を受けることができません。だから年齢とともに体を動かすことが少なくなってくると、脳も刺激を受けにくくなってきます。
日々のケアを怠らず。体や五感をつかって生き生きと活動している限り、脳も元気になるということです。例えば集中力が衰えたからもう読書ができないなど、とかく脳のせいにしがちですが、実は体が衰えて疲れてしまうだけ。日ごろから読書する姿勢を保てる筋肉や、目の健康を維持していれば何歳になっても、脳は喜んで読書についていきます。
脳は若い脳より、年を重ねて成熟してきた脳のほうが断然魅力的だと思っています。例えば、絵画を見る能力がそう。美術館などで多くの本物を見ている人には、本物を見極める脳が育っている。よい経験の積み重ねが、脳を高度に育てているんだと思います。
もう一つは、脳にどんな刺激を与えているかによって、遺伝子の動き方が違ってくるということです。遺伝子は先天的なもので、後天的な経験とは関係ないと思うかもしれませんが、同じ遺伝子を持っていても、置かれた環境や経験によってその動きに鍵がかかったり、はずれたりすることがわかりました。マウスの実験では、体を動かすことができる回り車やコミュニケーションが取れる仲間が存在し、豊かで刺激的な環境のほうが、記憶や理解、判断に関する遺伝子が働いて記憶力もよく、脳の働きがよくなるということが分かっています。
つまり、脳の働きが活発かどうかは、遺伝でも年齢でもなく、環境や生き方で決まることなのだということが最近の脳科学で明らかになってきました。もう年だからなどと諦めるのはもったいないのです。
脳血流の測定機を使い、どのような活動が脳を活性化するかを調べている脳科学の研究者、篠原先生。その先生が食事と運動の他に是非加えてほしいとお勧めするのが料理です。料理は材料の買い出しから始まり、いくつもの段取りを踏む行為。しかも包丁や火を使いながら、常に次の手順を考え、手も頭も目も舌も、台所に立つ筋肉も同時進行で使う、まさに前頭葉フル回転の活動。これこそ、脳が喜んで元気になる、何よりの大人の脳トレ、というわけです。
さらに、ただ漠然とキャベツを切るより、「心を込めて5ミリ単位で切る」ほうが、脳はさらに活性化することが先生の実験で判明。やはり食べる人のことや、食べたときの歯ごたえなど、思いを巡らせながら料理するほうが脳はますます活性化し成熟していくようです。
●脳が喜ぶのは「甘い」「旨い」「アブラ」
脳の健康のための栄養素は「甘い」「旨い」「アブラ」という言葉で表現しています。「甘い」は糖質(ブドウ糖)のこと。ブドウ糖は脳のエネルギー源です。また、「旨い」は旨みのもとであるアミノ酸のこと。脳の神経細胞も神経伝達物質もたんぱく質でできています。そして「アブラ」は脂質のこと。ただ脂質にもいろいろな種類があります。
特に積極的にとりたいのは、脳の構成成分であり、遺伝情報にもかかわるアラキドン酸や、DPH、脳の血行をスムーズにするEPAなどの「必須脂肪酸」。それに対してとりすぎに注意したいのは、肉の脂身や乳製品に含まれる「飽和脂肪酸」です。もちろん、最も大切なのは栄養のバランスです。これらが代謝されてきちんと利用されるためには、ビタミンやミネラルなどが不可欠なことも忘れないでください。
『美感遊創』
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