加藤のメモ的日記
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●西域ロマンの血、ロプノルは、中国による核実験が繰り返し行なわれた“死の大地“である。雨になり、砂となり降り注いだ放射性物質は、先住・ウィグル族を長年、蝕んできた。ジャーナリスト・櫻井よし子氏が、“異形の大国“の非道な振る舞いを白日の下に晒す。
ウィグル自治区(東トルキスタン)での中国の核実験の惨状をいち早く突き止め、世界に発信したウィグル人医師のアニワル・トフティー氏、札幌医科大学教授で放射線防護学を専門とし、昨年夏『中国の核実験』という衝撃の書を出版した高田淳氏らが登壇した。
中国の弾圧に苦しむチベット人も含めて、約200名が集った同会では、1964年から96年まで東トルキスタンのロブノルで46回の核実験が行なわれ、少なくとも19万人以上が死亡、129万人以上が被爆したことが発表された。ロブノルでの核実験は、総爆発出力20メガトン、広島の原爆の約1250発分に相当するという。被害の凄まじさは想像を絶するが、だからこそ、中国政府は一切の情報開示を拒んできた。
シンポジウムに先立って取材に応じた高田教授が語る。「広島上空で炸裂した核爆発の災害調査から始めて、私はソ連のセミパラチンスクでの地表核爆発災害、マーシャル諸島での地表核爆発災害を調査してきました。これまではソ連がいかに国民の生命や健康に配慮しないひどい国かと思ってきましたが、中国を調べ始めて、中国に比べればあのソ連さえ紳士的だと思ったものです」
高田教授の批判は、中国共産党の核実験の方法にも向けられる。「核実験の被害は地表で行なった場合が最も深刻です。空中や地下でのそれに比べて、核分裂生成核種が大量の砂塵となって周辺や風下に降り注ぐからです。ですからソ連でさえも人々の居住区での地表核実験は避けてきました。それを中国は強行し、結果、日本人も大好きなシルクロードにも深刻な放射能汚染をもたらしています。
こうした一切の情報を、中国政府は隠し続けています。住民には情報自体が与えられないのであるから、健康被害に関する指導も支援もない。シルクロードに憧れて現地を訪れる旅行者に対しても同じことだ。中国の隠された核実験の悲惨さを、初めて国際社会に伝えたのが英国の「チャンネル4」によるドキュメンタリー、「死のシルクロード」だった。
98年8月に報じられたこの27分間の作品は、世界83カ国でも報じられ翌年、優れたドキュメンタリーに与えられるローリー・ペック賞を授賞した。その時の取材の核となって情報を集めたのが、今回のシンポジウムで来日したアニワル氏である。アニワル氏は告発によって亡命を余儀なくされた。
週刊新潮 ’09.4.2
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