加藤のメモ的日記
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「カウント想起法」と呼ばれる少し進んだ想起法を紹介する。これは記憶の底に沈んでいた思い出を取り戻す方法で、単に想起するだけでなく、脳を活性化する訓練にもなっている。まず、数字の1を唱えながら、過去のどの場面でもよいから鮮明に想起できる場面(空間的な場)を思い出して描く。次に数字を2,3,4、.....と唱えながら、その周囲の場面をできるだけ細かく想起する。
例えば10になったところで鮮明に思い出せる場所は終わったと思ったら、次に11と数えて別の場面に飛んでいく。このとき、特別な意味のつながりや時間的なつながりはなくとも、なんとなく自然に思い出せるところに飛ぶことにする。そして12、13、....と数えながら、二番目の場面を動き回り、それぞれの場所でも記憶のシーンを鮮明に確認する。
二番目の場面が尽きたら、同様に三番目の場面に飛んで数字を続けながら場面を数えていく。以上のような作業を数百まで数えるように続ける。
この方法で大事なことは、リズミカルに作業を続けることと、それぞれの場面をはっきりと想起して鮮明に思い出そうと努力することである。また、何か感動的なことや印象的なことや、びっくりするような記憶がでてきても、そのまま心を動かさないで通り過ぎるようにする。
この作業をしている間は過去の心象風景の中をあたかも通行人のように通り抜けることがポイントである。最初はなかなか要領を得ないかもしれないが、このような作業を続けることで次第に、過去のさまざまな状況が鮮明によみがえるようになり、ぽっかりと忘れ去っていた特定の体験群が突然、鮮明に浮かび上がってくることも体験するようになる。
一週間ほど続けてみることが大事である。自由に円滑に連続して想起することができるようになったら、自由に特定の記憶の領域に入り込んで、その体験の細部をさらに確認することもよい。
このような訓練を行うことに集中して想起をしていると、だんだん心の深い世界に入っていく感覚がつかめるかもしれない。このような体験から、瞑想法に通じる世界が見えてくることがある。
次に紹介する訓練は、本書の見開き2ページを読み終わって、新しいページを開いたらすぐに前の2ページ分の内容を想起してみるというものである。この訓練は文章として頭に入れたものがどう記憶されたかを自覚するのに非常に効果的である。
本に限らず何かまとまったことを学んだり、頭に入れたりしたら同様にすぐにざっと、思い出す習慣を身につけるように心がけることが肝心である。それによって、きちんと覚える癖がつくようになる。なんとなく覚えてなんとなく忘れる、という従来の悪い癖を消去する。
「記憶力が今までの10倍よくなる法」より
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