加藤のメモ的日記
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2008年11月23日(日) 東京地検

政界のドン・田中角栄首相は1976年ロッキード事件で逮捕された。官房長官を務めた現職政治家が有罪になった1988年のリクルート事件。2007年、防衛の天皇・守屋事務次官を汚職事件で逮捕した。どんな巨大な権力者でも逮捕してしまうのが、東京地検特捜部。日本最強の捜査機関との呼び声も高い。しかし警察がいるのに、なぜわざわざ彼らが捜査するのか。警察は内閣総理大臣の下の国家公安委員会の下に置かれる組織であるので、上司の捜査は難しい。内閣総理大臣を頂点とするピラミッドで、警察は最下層に位置するからである。

そこで、権力から独立した立場にある、つまりピラミッドの中に入っていない、東京地検特捜部だから捜査できるというわけだ。彼らの胸に光るバッジが意味するものは秋霜烈日。霜のように厳しく夏の陽のように激しく、いかなる権力にも屈しない厳格なる捜査の姿勢の象徴である。どんな大物政治家でも容赦しない。まるで悪代官を捕まえる現代の水戸黄門である。そんな彼らは難解な司法試験に合格した検事1500人から、さらに選ばれた40人が中心となる超エリート集団である。

拳銃も警棒も持たないという彼らだが、すごい必殺技がある。それはダンボール作戦。一つの事件で運び出すダンボールは50箱以上になるという。このダンボールの中はあらゆる事件の証拠品が入っている。パソコン、日記帳、メモ、郵便物、名刺、経費書類あらゆるものが含まれている。箱の中身は全部検討する。その作業は検事一人につき一週間でダンボール20箱以上。不眠不休で調べ上げる。

実際に1976年のロッキード事件では、膨大な押収品の中から一枚のフェリー切符を発見し、容疑者のアリバイを崩した。だからどんな悪いことをした大物政治家も、彼らが忍耐と法律をつくして調べ上げた証拠の前では、蛇に睨まれたカエルである。彼らが動くと、巨大な権力が絡むすごい事件が起きたと思ってよい。捜査に関する管轄は日本全国である。ただし、地検特捜部は離職率が高いといわれている。休みなしで働きずくめで働くため、非常に体がきつい。

外部への情報漏えい管理は徹底していて、家族でさえどんな犯罪を捜査しているのかわからないという。地検と警察の違いは、警察は一次捜査機関で、海上保安庁や、麻薬Gメン、マルサも同格である。検察は二次捜査機関である。一次からあげられた事案を捜査立件する。司法の場に出る検察官は国家公務員で、警察官は本部長などを除くと都道府県の特別職である。

検察には区検察庁、地方検察庁、高等検察丁、最高検察庁がある。警察とは違う。一番違うのは警察は刑事裁判を起こせないが、検察は取り調べて被疑者を検察庁へ送付する。そして裁判を起こすか起こさないかを決める。起こす場合は原告側に検察が座る。大掛かりな捜査や国会議員は東京、名古屋、大阪にある特捜部が直接行うことが最近多い。



『世界丸見え特捜部』


加藤  |MAIL