加藤のメモ的日記
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思想とは、人間が歴史の中で論理的に築き上げてきた行動指針であり、倫理規範である。世界中のあらゆる場所でいつの時代にも思想の芽は生まれている。人々の論議や時代の洗礼を受け、普遍化したものだけが価値の高い思想として認められていく。中国やインドを中心に発展した東洋思想は、仏教や儒教の影響が強く、直感的な認識論を重要視する。多神教的な側面もあり価値観を融合した柔軟なものの見方・考え方が特徴である。
一方、古代ギリシャからヘレニズムを経て生まれたキリスト教の流れは、西洋思想のバックボーンをなすものとして脈々と受け継がれている。西洋思想の歴史は神の意味を問うことと、神からの個人の解放の歴史でもある。西洋思想のもう一つの特徴は合理的な科学精神にある。錬金術師たちが活躍する時代から大航海時代をへて産業革命に至る根底には、物質的で冷静な批判精神が確立されている。コペルニクスの地動説もダーウィンの進化論もそうした土壌からでなければ生まれなかっただろう。
明治維新以後の日本でも「和魂洋才」と言う言葉で表されるように、フランス革命やアメリカの独立戦争を支えた啓蒙思想を中心に、ルソーやミルの思想が急速に広まった。しかし、地球環境問題、ベルリンの壁の崩壊、ソビエト連邦がなくなるなどの時代状況の中で人間の価値観は複雑に多様化している。それと共に思想も大きな転換点を迎えていることも確かだ。
人に好かれる基本は二つしかない。相手の欲することをする。嫌がることはしない。それだけだ。しかし具体的にはそれをどう言葉にし行動に移すかは、相手と自分のキャラクターによって違ってくる。時間、場所に適したやり方もある。「受験は恋愛より楽である。努力が成果と比例するから」と言った人がいた。名言である。しかし恋愛にも「傾向と対策」はある。それが恋愛小説だ。自分で人知れず誰も傷つけず、何度でも練習できる。
それでは既婚者の人は何を読めばいいのだろう。答えは「そんな恋がしてみたい」と思える本を読むことだ。「不幸ではないが、このまま人生を終えるのは、少し哀しい」そういった人々の夢を思い切りかなえてベストセラーになった「マディソン郡の橋」あたりから読んでみよう。現実逃避型の読書の場合は。
『読書の技術』
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