加藤のメモ的日記
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アメリカから始まった金融危機は世界中を巻き込み、100年に一度の事態とまで言われている。アメリカが売ったサブプライム商品の中身は、低所得者向けの住宅ローンだった。しかし今ではガタ落ちで買った人は大損をこうむっている。アメリカだけではなく、イギリスはCDSという保険商品を大量に買い込んだが、今ではこれも危ないといわれている。サブプライムもCDSも住宅価格が下がらなければ儲かるはずだった。
日本の証券会社やイギリスの銀行は、CDSやサブプライム商品を買い込んだ。アメリカに買い取れといっても、アメリカも大量に抱え込んでいるので買い取る余裕はない。しかし日本やイギリスもアメリカのやり方を疑わずやってきた。複雑すぎて到底理解できないアメリカ式の金融商品、サブプライムローン問題をきっかけにその信用が崩壊し、金融機関のあいだで不信の連鎖が広がっている。
ニューヨークは世界経済の中心としてその名をとどろかせてきた。この金融の街が最近物々しい空気に包まれている。サブプライムローンに端を発した金融危機で、家や仕事を失った人たちが連日のように押しかけてくる。ウォール街の象徴ともいえる存在が投資銀行である。個人預金は扱わず大企業相手に投資戦術をアドバイスしたり、金融商品の開発をするのが主な業務である。リーマン・ブラザーズ、ゴールドマンサックス、メリルリンチ、モルガンスタンレーなど5行の総資産は2007年末、500兆円であった。サブプライムローンを先頭に立って融資してきたのもこの5行だった。
莫大な利益をあげ、経営者たちの手にする報酬は巨額だった。リーマンブラザーズの前CEO・リチャード・ファルドの退職金は10億円だった。家や仕事をなくした人々の怒りはどんどん大きくなっている。投資銀行のトップは、庶民の怒りをどう受け止めるのか。リーマンブラザーズの前CEOの家は少なくとも10億から15億の価値はあるといわれている。屋敷は大邸宅で門から300メートルの距離がある。
投資銀行の力の源は錬金術ともいる商品の開発だった。投資銀行は債権つまりローンを受け取る権利を買い集め他のものと混ぜ合わせることで、証券化商品という新たな金融商品を生み出した。それを世界中の金融機関に売って利益を上げてきた。しかしその実態はこれまで多くを語られてこなかった。内部の関係者に取材を始めると、会社の方針で職務内容を話すことはできないという。話したら会社は法的措置をとるということだ。投資銀行の内部では厳しい緘口令がしかれている。
今年の10月、ニューヨークで1ヶ月前アメリカの投資銀行を退職したばかりの人物によると、証券化商品を作る”うまみ”とは単純な金融商品はそんなに収益性がないが、複雑性があって自分たちの手元で作り上げたから、商品開発コストと投資家が払う手数料の差額を、より広く確保できるということだ。こうした商品を売りさばいてきた投資銀行マンの心理は、人がどうなってもかまわないから儲かりたいとは思っていないが、一般的な世界よりも欲がむき出しの世界である。自制すべきというのはなかなか難しい。
人間の欲望をかきたてる証券化商品とはどういうものか。投資銀行から証券化商品を買ったある資産運用会社は日本や欧米から預かった、約750億円の資産を運用している。その商品とは5億円以上が最低の投資金額である
例えばある証券化商品の資産価値は額面で146億円。年間利回りは約3%〜6%で、他の証券化商品100本が束ねられている。その一つ一つにモルガンスタンレー、メリルリンチといった名前があり、商品の大部分はRMBSという住宅ローンを担保にしたものだった。何のローンが入っているのか、中にサブプライムローンがいくらあるのかそれぞれの中身を理解してからでないと再編成されている商品のリスクをきちんと把握できない。
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