子の年齢:7歳8ヶ月
土曜日は授業参観だった。 朝からひどい雨だったが、家が近所なので長靴を履いて歩いて行く。
スリッパに履き替えて教室の廊下に立って壁に貼られた図画を見ていると、ちーちゃんが手をつかんだ。 「○○さんの絵は図書室にあるが〜、見せてあげる〜」 「えっ?そんな時間あるの?」 「だいじょうぶ。」 半信半疑で図書室に行って眺めていると、だんだん人気がなくなってきた。
「ねえ、もう行かないといけないんじゃない?」
廊下で担任の先生が叫んでいた。
「Sさ〜ん!待っていま〜す。」
チャイムが鳴らないので授業が始まっていたことがわからなかったのだ。 教室の後ろにずらりと親御さんが並んでいるというのに、授業に5分遅刻である。 かっこ悪いったらない。おまけにその日は日直である。
授業が始まっても、あくびをしたり、伸びをしていたりする。 腕を伸ばしていたら先生に当てられた。
「はい、Sさん?」 「何言うか忘れた。」
ふざけてるんじゃないよ! 見ている方はやきもきする。
「Sさん、そろそろ思い出した?」 「うん。『かめき』くんだけに伝えたかったん。」
その日の授業は道徳だったのだが、低学年の道徳というのはほとんど国語の長文読解であって、なかなか難しいのだ。
先生の質問に対して、みんなの意見が殆ど出尽くしたところでのちーちゃんの一言だった。
「だって、ここに書いてあるもん、ほら。」
ほう、本当だ。 やる時はやるんだよな、ちーちゃん。
とはいえ、その読解力がテストに生かされたことはなかった。 もっと問題文を読解することに力を使ってもらいたいものである。
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