子の年齢:4歳6ヶ月
今日は七夕。七夕だな〜。 七夕にしては珍しく晴れている。というのも七夕とは旧暦の行事なので、新暦のカレンダーとはお空が一致しないのだ。 カレンダーどおりの七夕に星が見えるのも珍しいので、天文台に行ってみることにした。
結婚前に一度行ったことがあるきりで、場所を正確に覚えていない。駐車場からかなり歩かなくてはならなかったことだけ覚えている。 動物園を通り過ぎて、南に進路をとると、新しい道に出た。 「えっ、こんな道だったっけ?」 と言う辺りから不安になったらしい。そもそもちーちゃんはママの運転や道案内を信用していないのだ。4歳児のくせに。 そして、ドンドン暗く細い道を目指していく。目的地が天文台なんだから当然だ。繁華街のド真ん中じゃあ星なんか見えないからね。 人気のない急坂を昇りつめたダム湖の前に車を停め、湖畔の薄暗い一本道を二人で歩く。 どこからともなく、ウシガエルの声がする。 「む‘ー、む‘ー」 ちーちゃんはたまりかねたように言った。 「もう帰る。」 「大丈夫、抱っこしてあげるから。ことりのシャボン玉の歌を歌って。」 歌い終わってもまだ天文台が見えない。どこからか、ちぎれちぎれに子供の話し声が聞こえる。 「やっぱり帰る。」 ここまで来たら引き返す方が怖いよ。天文台から帰ってくる人に「まだ遠いですか?」と聞いてみる。 「あと100mぐらいですよ、頑張ってください。」 ようやく天文台の玄関の青いイルミネーションが見えてきた。玄関には七夕飾り。入り口には送迎バスが停まっている。 受付のおじさんと話してようやく人心地がつく。ああ、人がいてよかった。
赤い三日月を望遠鏡で見る。肉眼ではオレンジ色に見えるのだが、望遠鏡で見ると白く、軟式野球のボールのようだ。 七夕のことだから、こと座のベガでも見せてくれるのかと思ったが、生憎雲に隠れていて、牛飼座のアークトゥルスを見る。
建物の屋上で、七夕のお話を聞く。 さて、そもそもなぜ、旧暦七月七日に織女星と牽牛星が逢わなくてはならないのか。他の日ではだめなのか? 37年生きてきて、初めてその理由を知った。 実は七月七日から数日かけて、三日月がベガからアルタイルの方向に向かって天の川を渡るのだそうだ。その様子を、船に乗って星が川を渡る様子に見立てて、年に1回七月七日に再会する、としているのだそうだ。
帰りは送迎バスに乗ることにした。夜は更け、道は相変わらず暗かったが、家族連れで満載のバスに乗って、ちーちゃんは安心したようだった。
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