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2005年08月23日(火) ■ |
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「きよしこ」 重松清 |
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「きよしこ」新潮社 重松清 冒頭、どもりで成功した作家が、ある母親の「どもり」の息子を励まして欲しいという手紙を無視した経緯を書く。そしてそのとき書けなかった『理由』が一人の少年の成長を描いたこの短編連作である、と明かす。だから、「どもり」の子が勇気をもらったり希望を持てる話ではない。しかし、そんな子に寄りそうことは出来る。それはべたべたすることではない。文字通り、つかず離れず寄り添うのである。何が寄り添うのであろうか。人ではない。『想い』が寄り添うのだ。
最後、高校を卒業する少年が自分に寄り添ってきた女性に突きつけた『決断』は、まだ19歳になっていない子が読んだら不可解に思えるかもしれない。
重松清氏はもちろん「どもり」では無い。しかし、いじめの物語をたくさん書いてきた彼の元には同様の手紙はたくさん届くのかもしれない。それに対する回答がこの作品なのであろう。もちろん回答はひとつではない。 (05.07.30記入) (05.08.14記入)
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