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2005年08月05日(金) ■ |
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「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか」アレン・ネルソン |
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「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか」講談社 アレン・ネルソン 原爆被爆者の語りべ、沖縄戦の語りべ、いろんな語りべがいる。その方たちに思い出したくないことを語ってもらうことで、私たち戦争を知らない子供たちは、戦争を『想像力』でもって追体験し、戦争のない未来を築く力を得ていく。
しかし日本に南京事件の語りべはいるだろうか、沖縄の兵士側の語りべはいるだろうか、ほとんどいないのではないだろうか。無理のないことではある。それほど、加害者の側に立つ経験や記憶というものは思いだしたくないことなのだろう。その意味でアレン・ネルソン氏は貴重である。彼はベトナム戦争から帰ってきたあとPTSD(心的外傷後ストレス精神障害)になる。それを克服したきっかけが、この表題作に関連するのであるが、その後、ネルソンさんは「人を殺した経験」の語りべとなる。
一般的に本を読むよりはその人の話を実際に聞いた方がより深く自分の中にイメージが入っていくだろう。話を聞くよりも自分が経験したほうがさらに深く刻みつけれるだろう。いかんせんこの場合、それ(戦争で人を殺す経験)だけはしてはいけない。出来ることならネルソンさんの話を聞いたほうが良いだろうが、わたしはまずは松本ヒロのパフォーマンスでこのエピソードを聞き、涙し、興味を覚えた。そして本を読んだ。話のあらすじよりも、言葉の細部に注目すること。そのことが大切だろう、と思う。子供向けの本であるが、大人にも充分衝撃的である。 (05.06.07記入)
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