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2005年01月11日(火)
「諸星大二郎自選短編集彼方より」集英社文庫

「諸星大二郎自選短編集彼方より」集英社文庫
諸星大二郎が74年に第七回手塚賞を「生物都市」で受賞して以来、すでに30年たった。この作品は、今読んでも全然色あせていない。いや、PCを管理しているのか、管理させられているのか分からなくなっているような現代、至る所で監視カメラが作動している現代、ここで語られた問題意識はいよいよと切実になってきている。機械と一体になった青年が呟く言葉「夢のようだ…新しい世界がくる…理想世界が…」。
不思議世界への入り口を叙情豊かに描いた近年の傑作「ぼくとフリオと校庭で」。読みたいと思いながらなかなか出会えなかった不条理ギャグ漫画の傑作「ど次元世界物語」。「ヨシコちゃんと首たち」「桃源記」「砂の巨人」は単行本未収録の作品である。
「自選」のためか、なかなか素晴らしいセレクトである。装丁も素晴らしい。この表紙の絵からだけでもいくつもの「物語」が立ちあがるような気がする。