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2005年01月12日(水)
「ネオデビルマン」講談社漫画文庫 

「ネオデビルマン」講談社漫画文庫 
今年は実写版「デビルマン」という映画の「イベント」があった。内容的には今年100作近く見た映画の中で、名誉あるワーストをあげたいような作品であった。原作とは違う物語になるのは良いとしても、テーマは全て中途半端に終って、役者も学芸会並の演技で、もうどこにも良いところが無いような作品であった。もっともそういう悪口は総合芸術である映画だからいえる事であって、これが漫画の短編ならよくぞそういう切り口で描いたと、そのことのみで誉めるべきであったろう。

この各漫画家のデビルマンに捧げる短編集を見てみると、あの映画で描こうとした事が、ここでは何人もの現役漫画家が変奏曲のように描いている事に気が付く。突然隣の人間がデーモンに乗っ取られていくとどういうことが起こるのか、自分がデビルマンとしての使命に目覚めるまでを描く短編、怒りで理性を無くし自らデーモンになるまでを描く短編、デーモン化現象で混乱していく社会を描く短編、その中でしたたかに生きる人間を描く短編、実に面白い読み物であるし、各作家のデビルマンへの愛が感じられて嬉しかった。特に、江川達也、石川賢、三山のぼる、とり・みき、岩明均、高寺彰彦、黒田硫黄の短編は傑作だった。