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2004年09月14日(火)
「誰も知らない」は90点

「誰も知らない」是枝裕和監督・脚本・編集 柳楽優弥 北浦愛 木村飛影 清水萌々子 韓英恵 YOU 音楽ゴンチチ
ゆきちゃんが大好きな「アポロ」の御菓子を大事に食べているのを見て、現代版「火垂るの墓」を予想したが、「泣かせ」の映像は極力排除している。そんな物語ではなかった。子供から少年へ、子供から少女へ向かうときの貴重な表情たち、「生活」する事の大変さ、都会の無関心さ、そして「寄り添う」ことの美しさ。ゴンチチの音楽がどうしようもなく美しく、優しい。子供たちがいい。彼らの生活が破綻する直前でカメラを止めたのはよかった。現代で人間でありつづける事は厳しいけど、希望はある。子供たちでさえ、一年間は頑張ったのだ。いわんや私たち大人をや。
足のアップと手のアップが多用される。子供たちは靴に気を使う。長男の明は運動靴。長女の京子は女の子らしいスニーカー、次女のゆきはくまさんのアップリケがついたきゅっきゅっと鳴るスリッパ。明のゲーム友達は中学にはいって親に真っ白まぶしいような運動靴を買ってもらっていた。明のそれはそのときは真っ黒にすすけていた。やがて彼はスリッパしかはかなくなる。
お母さんに塗ってもらったマニキュアが京子にはまぶしい。その色が禿ていっても彼女は色を落とす事が出来ない。事故で死んでいくゆきの体に触る手と手と。「お別れ?」と聞くシゲルに京子は思わずぐっと手を握り返す。
足のアップは生活を証明し、手のアップは想いを現す。どちらも含めて子供たちは頑張った。