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2004年09月04日(土)
『ガニメデの優しい巨人』創元SF文庫 J.P.ホーガン

『ガニメデの優しい巨人』創元SF文庫 J.P.ホーガン
シリーズ二巻目に至り、謎は新たに進化する。ミステリの分野で言えば、『彼は何者か』から『彼はなぜそうしたのか』に移っていく。一巻目で曖昧なままに終ったガニメアンの正体が明かにされ、彼らがなぜ『優しい』のか解明される。それはすなわち、我々人類が『優しくない』ことの裏返しでもあるのだった。前作は5万年間の謎をとく事が主流であったが、今度の謎は2500万年間である。およそSF史上もっとも平和的な「ファースト・コンタクト」も描かれる(たぶん)。

今回の発想によく似た日本のSFを私は以前に読んでいた。半村良の『妖星伝』である。テイストはずいぶんと違うが、『地球という惑星は生物がお互い殺しあうところに特徴がある』という発想は同じである。どちらも同時期の刊行。『妖星伝』の場合はこの地球の未来に対してかなり悲観的なラストであった。果たして、ホーガンはどう決着を着けるのだろう。彼はかなり楽天的なようである。先が楽しみだ。