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2004年09月05日(日) ■ |
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「69」集英社文庫 村上龍 |
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「69」集英社文庫 村上龍 「今までの32年間の人生の中で、三番目におもしろかった1969年はそのようにして始まった。僕たちは17才だった。」17才という年代は素晴らしいと思う。17才は思い切り時代の空気を吸う。安田講堂、佐世保闘争、バリケード封鎖、ラブ&ピース、フェスティバル、学生集会、サイモンアンドガーファンクル、ジャニスジョップリン、レディジェーン、…。しかし、17才は易々と時代を飛び越える。そして、17才は簡単に挫折する。ただ、17才はいつも楽しそうだ。そう、楽しくあれと願っていれば。
ほとんどが村上龍の体験に根ざしているという。「バリ封」にしても、そのため停学を食らった事も、コンサート、映画上映、その他もろもろを混ぜた「朝たち祭」というフェスティバルを企画した事も、脚色は少しはあるかもしれないが、事実である。けれども別に驚くに値はしない。私の知りあいの高校生は大きな集会ぐらいなら簡単にやってのける。エネルギーだけなら有り余っている、のだから。
村上龍にしては楽しい物語であった.頭がよくて調子がよくて、思想はないけど、楽しい事は大好きな主人公、ケン。主人公に付いて行けずに、でも彼らから離れられない岩瀬。あるいは主人公の頭の働きに付いて行きながら、もっと真面目に対処しようとするアダマ、あるいは「テレビなんかでさ、よう学生のデモとかバリケードとかあるやろ?うち、全然違う世界て思うばってん、分かるごたる気もする」という罪な言葉を呟き主人公を「その気」にさせてしまうメリージェーン。読者はおそらく登場人物たちの誰か一人に自分を発見するだろう.。(私の場合は岩瀬だった。残念ながら。)
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