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2004年09月02日(木)
「都の子」集英社文庫 江国香織

「都の子」集英社文庫 江国香織
「女性」という「謎の存在」に対して挑戦するような気持ちで読んでいった本である。

以下は印象に残った部分です。ーー母の箪笥に対する特別な想い、そして今も大事なものをしまい込んでいるということ。空港が好きで、そこで傍観者としてなんの役割もなくただ立っているのが気持ちいいという感覚。雨の日のカエルへの想い。階段が好き、なぜなら「一人になれる」から。冬の夜道を歩いていると、時々一本のろうそくになっているような気持ちになる、満ち足りた気持ちで。アメリカの冬、みんなどこかで冷静に、澄んだ孤独を抱えていたし、他人の孤独に対する距離の取り方も知っていた。泣いた赤おに、青おにの友情なんかこれっぽっちも感じなかった、むしろ青おにに裏切られた気持ちがした。

どうしてこの女性はこんなにも孤独を愛するのだろう。そうしてそういう女性の「感覚」をどうして多くの女性が「共感」するのだろう。私も確かに孤独を愛する事がある。しかしこの「孤独」とは明かに違う。どうちがうのか。今はとても言葉では言えない。