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| 2004年09月01日(水) ■ |
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| 「ホテルカクタス」集英社文庫 江国香織 佐々木敦子 |
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「ホテルカクタス」集英社文庫 江国香織 佐々木敦子 3人はたまたま住み始めたアパートの住人で、そしてすぐに友人になる。3人の関係は微妙に素敵である。3人の性格は見事に違う。3人とも同じ女の子を好きになり、同時に振られる。女の子は3人の弱点を見事に付いていて見事だ。「一人はちょっと軽薄だし、一人はとっても優柔不断で、一人はひどくむさくるしいんだもの」そういう風に性格違う3人だが、いいところもある。一人はさっぱりしていて、一人は几帳面で、一人は懐が深いのです。3人は毎日のように部屋に集う。3人はお互いを尊重して干渉しあわない。
これは人と人との素敵な関係を描いた「寓話」である。3人はそれぞれ違う孤独を抱えているが、外的要因でアパートを立ち退くまで「関係」を続ける。3人は同じ競馬を楽しみ、女の子に振られ、同じ音楽に感動し、旅を愉しむ。人生で必要なのは、そういう関係なのかもしれない。
私はむさくるしいけど懐の深い「帽子」がお気に入りです。彼が二人には決して語らない「思い出」をアパートの中庭にいる黒猫に語るところが好きです。
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