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2004年08月12日(木)
「日本縦断 徒歩の旅」岩波新書 石川文洋

「日本縦断 徒歩の旅」岩波新書 石川文洋
2003年7月15日、北海道宗谷岬をスタートして、12月10日、沖縄那覇市に到着するまで、65歳の石川氏は日本海ルートを通って全て徒歩で歩きとおす。
難しい動機があるわけではない。「歩いて旅をしたかった」男の子なら一度は持つ夢である。正直な予算の公開、リュックサックの詳細な中身、朝・昼・夕飯の内容、宿の感想、そして出会った人たちの名前と年齢、自然、本当に正直に毎日の行動が記録されている。文章は素朴そのものだ。しかし、ジャーナリストとして事実を伝えようとする氏の誠実さは充分伝わるし、旅の中でふと思う感想から氏の戦争カメラマンとしての半生が浮かび上がる。
たまたま出会ったおばあちゃんの83年間の人生を聞く。夫のビルマ戦死、二人の子どもを育てた苦労、「元気の素」は娘二人と孫六人、曾孫13人なんだよ、というようなことを聞いていく。氏はあくまでジャーナリストなのである。文は見事に「足で書く文章」(報道記事の基本)になっていた。